研究課題
これまでの私たちの検討から、ERAP1はLPS刺激によりマクロファージより分泌され、NO産生の増加に寄与することがわかっている。今年度はERAP1遺伝子ノックアウトマウスを用いてin vivoにおいてもNO産生の増加が起こるか検討した。その結果LPS刺激時のERAP1-/-マウスのNO産生能力は +/+マウスに比べ30%程度低下していることが明らかとなった。この時血中のロイシンアミノペプチダーゼ活性は同程度の低下を示した。したがって細菌感染時におけるNO産生の増加には活性を保持した分泌型ERAP1の寄与があるものと考えられた。NO産生には遊離のアルギニンが必要である。そこでERAP1-/-マウスの血中アルギニン濃度を +/+マウスと比較したところやはり30%程度の低下が認められた。一方ERAP1では遊離されないプロリンに関しては両マウスで差は認められなかった。以上の結果は細菌感染時等におけるNO産生の増加には、LPS刺激により血中に分泌されたERAP1が酵素活性を発揮し、特定の基質ペプチドのN-末端アルギニンを遊離させることが少なくとも一部寄与していることを示唆している。したがって私たちが見出した分泌型ERAP1はマクロファージの活性化及びNO産生の亢進を介して生体防御に重要な役割をはたしていることが本研究課題の遂行の伴ない明らかになったと考えられる。一方ケミカルバンクのリソースから比較的活性の高い新規骨格を有するERAP1の同定に成功した。今後最適化を行い特に自己免疫疾患の治療薬としての可能性を検討していく予定である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Biochemistry
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