研究概要 |
Stratifin (SFN)の肺腺癌発生における役割の解析について、SFN遺伝子をSP-Cプロモーター下に導入した発現ベクターを作製してICRマウスを用いたトランスジェニック(TG)マウスを作製した。このTGマウスを用いてNNKによる化学発がん実験を開始した。現在、雄雌それぞれ30匹、29匹にNNKの投与を終え、経過観察中である。 また、A549細胞にFlagタグを付けたSFN発現ベクターを導入しSFNを強制発現させ、その細胞から抽出した蛋白をサンプルとし、抗Flagタグ抗体を用いたpull down assayおよびLC/MSMS解析を行い、計24個のSFNに特異的に結合する蛋白を得た。この中から細胞周期のS期に関与する蛋白としてSKP1を選択した。SKPはCullin1あるいはF-boxと結合することでSCF complexを形成し、cyclin E1等増殖関連蛋白の活性を阻害する。SFNはSKP1に結合する事によってSCF complexの活性を阻害し、リン酸化cyclin E1の活性を維持することが考えられた。 IGBP1についてはMicroRNA arrayあるいはTarget Scanを用いた解析で6つのMicroRNA (miR)が選択された。これらのmiRは上皮内腺癌でもその発現が低下している事を明らかにした。またこれらのmiRをA549あるいはPC-9に遺伝子導入し、IGBP1の発現を解析すると、miR-34b, miR-1909, miR-3941の3つがIGBP1の発現を低下させる事がわかった。今後luciferase assayを用いてこらら3つのmiRが直接IGBP1の発現のコントロールを行っているかどうかを検証していく。
|