研究課題/領域番号 |
25293088
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小田 義直 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70291515)
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研究分担者 |
山元 英崇 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30404073)
孝橋 賢一 九州大学, 大学病院, 講師 (10529879)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 横紋筋肉腫 / ケモカインレセプター / 転座関連肉腫 / 非転座関連肉腫 / apoptosis / 隆起性皮膚線維肉腫 / Akt-mTORシグナル経路 |
研究概要 |
1)横紋筋肉腫におけるCXCR4、CXCR7などのケモカインレセプターの発現を検索したところ CXCR4およびCXCR7は組織型に関係なく、高率に高発現を認た。CCR6は胞巣型で胎児型より有意に高発現であったが、CCR7は胎児型でより高発現であったものの有意差は認めなかった。2)転座関連肉腫 (TRS) の新規治療標的の検索のため滑膜肉腫、粘液型脂肪肉腫、骨外性ユーイング肉腫、胞巣型横紋筋肉腫の凍結検体を使用しTaqMan® Array Gene Signature Sets 96-Well Platesを用いて解析を行った。対照群は非転座関連肉腫である平滑筋肉腫、悪性末梢神経鞘腫、胎児型横紋筋肉腫を使用した。両者に差を認めた遺伝子が21種類あり、その中にはapoptosisに関連するものが含まれ治療標的となる可能性が示唆された。3)皮膚隆起性線維肉腫(以下DFSP)におけるAkt-mTOR径路を解析したところ線維肉腫成分を伴った例ではではPDGFRBの刺激に因らずAkt-mTOR径路が活性化している可能性ならびにこの径路が新たな治療標的となりうる可能性が示唆された
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ケモカインレセプターの活性化状況を横紋筋肉腫についてまとまった臨床病理学的事項との比較が可能であり、CXCR4, CCR6, CCR7の活性化状況が悪性度のより高い胞巣型と対峙型では異なることを明らかにできた。この研究の大きな目標の一つであるTRSとnon-TRSの網羅的遺伝子発現プロファイルの違いを検討したところapoptosis関連分子のいくつかに差を認め、今後具体的に責任となる可能性のある具体的に絞り込んでゆくことが可能になった。隆起性皮膚線維肉腫では線維肉腫成分を伴うものとそうでないものでPDGFBを介したAkt-mTORシグナル経路の活性化のメカニズムが異なり、線維肉腫成分を伴うものでは分子標的治療を行うにあたって、工夫が必要であることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
1) TRS群およびnon-TRS群との網羅的mRNA発現解析の比較で両群に有意差を認めた21遺伝子についてさらに絞り込み解析を進める。さらに各組織亜型に特異的に高発現している候補遺伝子についても悪性度や臨床病理像との関連を検索してゆく。 2) 脱分化型脂肪肉腫と未分化多形肉腫におけるPI3K-Akt/mTOR経路リン酸化蛋白発現プロ―フィールを比較し、臨床病理学的事項との比較を行う。脱分化型脂肪肉腫では高分化脂肪肉腫成分と高悪性度成分でのPI3K-Akt/mTOR経路リン酸化蛋白発現を比較する。 3) IGFおよびIGFRと発現更新していると報告されている孤立性線維性腫瘍における受容体型チロシンキナーゼ(VEGF-VEGFR, FGF-FGFR, IGF-IGFR)、MAPK経路およびSTAT1,3,6の網羅的な発現状況の検索を行いPI3K-Akt/mTOR経路リン酸化蛋白発現との関係を検索する。
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