研究課題
1.ヒト腫瘍組織における腫瘍随伴マクロファージ(TAM)の役割について、これまで、グリオーマ、卵巣癌、肝内胆管癌、腎細胞癌、およびT細胞リンパ腫において、CD163陽性M2-TAMの浸潤密度と腫瘍の悪性度や患者の不良予後との間に有意な相関がみられることを報告した。本年度はM2マクロファージマーカーの一つであるCD163分子自体が腫瘍進展に及ぼす作用を検討した。CD163欠損マウスを用い線維肉腫移植モデルを作成したところ、欠損マウスでは腫瘍重量の有意な減少と生存率の延長が認められた。腫瘍細胞との共培養ではCD163欠損マクロファージからのIL-6分泌が低下し腫瘍増殖が抑制されている可能性が示唆された。2.TAMは腫瘍内の癌幹細胞にも密接な関連を示すことが想定されることから、ヒト腎細胞癌組織を用いて検討すると、M2-TAMの浸潤密度が高い領域に幹細胞マーカーであるCD44陽性腫瘍細胞が多く観察された。培養実験から、マクロファージ由来のTNF-αが腫瘍細胞によるCD44発現を誘導することがわかった。3.大腸癌ではリンパ節のCD169陽性洞マクロファージが多い症例ほど患者予後が良好であることを報告したが、今年度は悪性黒色腫および子宮内膜癌に関して同様の結果を発表した。その機序として、大腸癌と同様、CD169陽性マクロファージがCD8陽性T細胞による抗腫瘍免疫を増強している可能性が示唆された。4.マクロファージのM2活性化を抑制する天然化合物として、タマネギからの新規抽出物であるonionin Aを同定したが、本年度の検討でマウス卵巣癌移植モデルにおいて、onionin Aが腫瘍増殖を抑制し、生存率が延長することを明らかにした。培養系による解析から、onionin Aは腫瘍細胞ならびにマクロファージのSTAT3の活性化を抑制し、腫瘍増殖を抑制している可能性が示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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