研究課題/領域番号 |
25293091
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
渋谷 和子 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00302406)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 免疫学 / 皮膚 / アレルギー性皮膚炎 / ヘルパーT細胞 / 分子標的療法 |
研究概要 |
接触抗原により誘導されるアレルギー性皮膚炎の病態にはCD4+ T細胞が関与していることが知られているが、病態形成の分子メカニズムの詳細はいまだ不明な点が多い。 CD155 (poliovirus receptor; PVR/Necl-5/Tage4)は、1989年にヒトのポリオウイルスレセプターとして初めて同定された分子量80~90 kDaの一回膜貫通型糖タンパクである。CD155は霊長類においてのみ同定されていたが、私達は、マウスのTage4/Taa-1がCD155のマウスホモログであることを同定した。 CD155は、細胞同士の接着の際の細胞接着面の形成も寄与しており、腫瘍細胞のコンタクトインヒビションの抑制、腫瘍細胞の増殖にも関与していることが報告されていたが,免疫応答におけるCD155の役割は不明のままであった。私達は、CD155がNK細胞やCD8+ T細胞に発現する免疫活性化受容体DNAM-1のリガンドであることを同定した。また、私達は、CD155が免疫細胞において、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、NK細胞、B細胞、樹状細胞 (dendritic cell, DC)、マクロファージに発現していることを観察した。その中でもCD155は特にCD4+ T細胞に高発現しており、活性化に伴いCD155の発現が上昇することから、CD4+ T細胞上のCD155がシグナル伝達分子である可能性を考え、解析した結果、CD155がCD4+T細胞のco-stimulatory分子として機能していることが明らかになった。アレルギー性皮膚炎病態ではCD4+ T細胞が重要な役割を担っていることから、CD4+T細胞上のCD155がアレルギー性皮膚炎の病態に関与している可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CD4+T細胞上のCD155がco-stimulatory分子として機能していることを明らかにし、アレルギー性皮膚炎の病態に関与している可能性を示唆するデータを得た。
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今後の研究の推進方策 |
接触抗原により誘導されるアレルギー性皮膚炎は、アレルギー性接触皮膚炎から増悪化アトピー様アレルギー性皮膚炎まで多彩な症状を示し、患者のQOLを著しく低下させている。その病態にはヘルパーT細胞が関与していることが知られているが、病態形成の分子メカニズムの詳細はいまだ不明な点が多い。アレルギー性皮膚炎病態の分子メカニズムを明らかにし、根本的な治療法を開発することは、社会的にも意義のあることと考え、今後は、一年目に得られた成果を基礎として、アレルギー性皮膚炎病態の制御に向けて研究をすすめていく方針である。
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