研究課題
接触抗原により誘導されるアレルギー性皮膚炎の病態にはCD4+ T細胞が関与していることが知られているが、病態形成の分子メカニズムの詳細はいまだ不明な点が多い。私達は、CD155 (poliovirus receptor; PVR/Necl-5/Tage4)が、NK細胞やCD8+ T細胞に発現する免疫活性化受容体DNAM-1のリガンドであることを同定した。さらに私達は、CD155の発現が免疫細胞の中でも特にCD4+ T細胞に高いことを観察した。また、CD155を介したシグナルを解析した結果、CD155がCD4+T細胞のco-stimulatory分子として機能していることを明らかにした。さらに、私達はCD155を介するシグナルが、CD4+ナイーブT細胞からTh1細胞への分化を誘導することを見出した。接触性皮膚炎に代表されるアレルギー性皮膚炎病態ではCD4+T細胞が重要な役割を担っており、Th1型免疫応答がその病態の主体であることが知られている。そこで、私達はCD155遺伝子欠損マウスを用いて、接触性皮膚炎の病態を観察した。その結果、CD155遺伝子欠損マウスでは、接触性皮膚炎病態が軽減することが観察された。さらに、所属リンパ節を解析した結果、接触性皮膚炎を誘導したCD155遺伝子欠損マウスでは、野生型マウスに比較して、IFN-gを産生するTh1細胞が有意に減少していた。以上の結果より、CD155を介する刺激がTh1分化を誘導し、接触性皮膚炎病態の増悪に関与していることが明らかとなった。最後に、接触性皮膚炎を誘導したマウスに、抗CD155中和抗体を投与すると、病態の改善が認められ、CD155が接触性皮膚炎の治療標的となる可能性が示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 4件) 産業財産権 (1件)
PloS One
巻: 11 ページ: 11(4)
10.1371/journal.pone.0152982
Nature Immunol
巻: 17 ページ: 441-453
10.1038/ni.3345
Mol Immunol
巻: 69 ページ: 70-76
10.1016/j.molimm.2015.11.009
J Immunol
巻: 195 ページ: 5309-5317
10.4049/jimmunol.1401195
J Immunol.
巻: 194 ページ: 5644-5653
10.4049/jimmunol.1401942