研究課題
Lnk/SH2B3の多型は心血管障害のリスクファクターでもあると報告されているが、心血管系での機能は未だ不明である。少量のアンギオテンシンIIを持続的に負荷したところ、野生型マウスでは血圧上昇が認められない量でもLnk欠損マウスでは高血圧が誘導されることが分かった。Lnk欠損マウスの腎臓には野生型に比してCD8+T細胞の浸潤が多く起こっており、これらはIFNγを産生する活性化状態にあること、腎臓が慢性炎症状態に陥っていることがわかった。加えて、大動脈の外周組織にも細胞浸潤が観察され、内皮から産生されるNOレベルが低下していた。これらによる動脈の弛緩障害が高血圧の感受性亢進に寄与していることを見出した。また、1型糖尿病とLnk/SH2B3遺伝子のSNPとの関連が報告されているが、どの細胞のどのような機能に影響し膵島障害リスクが高まるのか全くわかっていない。糖尿病の病態形成におけるLnk依存性制御の破綻の影響と細胞標的を解析した。Lnk/SH2B3欠損マウスは定常状態の血糖値が高く、グルコース負荷試験で耐糖能が低下していることを新たに見出した。インスリン血中濃度は正常で、インスリン負荷試験でインスリン抵抗性が認められた。インスリン標的組織の異常による耐糖能低下であり、Lnk/SH2B3欠損骨髄を野生型レシピエントに移植した骨髄キメラでも観察されるので血球細胞に依存すると考えられた。リンパ球の関与についてRAG欠損マウスとLnk/SH2B3欠損を交配し重複欠損マウスを作成したが、依然として耐糖能異常が認められたことからT細胞やB細胞の関与は補助的と考えられた。Lnk/SH2B3欠損により骨髄球系細胞でもIL-15への反応性亢進が生じることから、Il15欠損マウスと交配し、耐糖能異常への影響について検討を推進している。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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