研究課題
Helicobacter pylori(ピロリ菌)のOuter inflammatory protein (OipA)とCytotoxin associated gene product (CagA)は重要な病原因子であり、OipAは私のグループが発見・命名した。胃上皮細胞を用いたin vitroの系ではOipAはSTAT1/3経路およびERK経路の活性化に関与し、CagAはSHP-2への結合を介してERK経路に関与する。しかしOipAとCagAのin vivoでの役割は確定されていない。本研究では、IL-6ファミリーのレセプターであるgp130上のSHP-2結合部位が欠損したノックインマウス(SHP-2→ERK経路は欠落し、STAT1/3経路は過剰活性化)にoipAおよびcagA遺伝子を変異させたピロリ菌を感染させて、腫瘍形成を観察し、さらに分子生物学的手法を用いて、OipAとCagAのin vivoでの役割を探求することを目標とする。本年度は、昨年度行った感染実験についての解析を行っている。昨年度は、gp130ノックインマウスに野生型ピロリ菌を感染させ(東アジア型および欧米型)、東アジア型の菌の方が炎症が強いことを証明したが、本年度はさらにすすめてマイクロアレイを用いた解析で、多くの因子の発現がピロリ菌感染で上昇していることを見出した。現在第1報目の論文はほぼ完成し、数か月以内に投稿できる予定である。第2報についても(アレイを用いた解析)、論文にまとめているところである。
3: やや遅れている
野生株を用いた感染実験は終了しており、さらにその解析も順調に進んでいる。しかし、oipA変異株が、マウスに感染しない結果が得られており、新たなマウス感染実験が止まっている状況である。ただし、感染しないということ自体が非常に興味深い結果であり、現在は、OipAの機能分析なども行っており、総合的には“やや遅れている”という段階である。
まずは、今までの結果を早く論文化することが目標であり、2論文を現在執筆中である。OipAに関しては、マウスには感染しないことがわかったため、In vitroの系を計画中で、すでにOipAタンパクの抽出に成功、胃上皮細胞と共感染させる実験を開始している。今後は、In vitroの系でのOipAの働きの検討を進めていく予定である。しかし、場合によっては、マウスではなく、砂ネズミを用いた感染実験も考慮したいと考えている。
残存する物品などを使用することができたため、次年度使用額が生じた。
今年度は、さらなる本格的な解析や実験が必要となり、これらの物品購入を行う必要性がある。さらに、マウス実験ではうまくいかなかった実験に関しては、砂ネズミを用いる計画もしており、これらの購入資金も必要となる。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (18件) (うち国際共著 2件、 査読あり 18件、 オープンアクセス 7件、 謝辞記載あり 14件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 5件) 図書 (1件)
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