研究課題
本研究では、T細胞の感染部位への遊走に中心的な働きを有するケモカインレセプターおよびケモカインの作用に焦点を当て、結核感染肺へのT細胞誘導機構を検討した。抗結核免疫に必須なインターフェロン(IFN)-γ産生CD4+T (Th1) 細胞が感染肺でCXCR3、CXCR5、CCR5を強く発現し、また感染肺ではこれらのケモカインレセプターのリガンドであるCXCL9/10、CXCL/13、CCL5の発現が増強していた。そこで、結核菌抗原特異的CD4+T細胞の肺への動員におけるこれらのケモカインレセプターの関与を検討するため、Th1の炎症部位への動員への関与が報告されているCXCR3の役割について検討した。結核菌抗原特異的T細胞レセプターをCD4+T細胞が発現するトランスジェニックマウス、P25 TCR TgマウスにMycobacterium bovis BCGを肺感染させ、感染28日目に得られた肺CD4+T細胞を養子移入して感染肺への動員を検討するシステムを用い、抗CXCR3抗体によるT細胞の肺への動員に対する抑制効果を検討したところ、予想外に抗CXCR3抗体はT細胞の感染肺への動員を阻止できず、CXCR3発現は必須でないことが明らかとなった。一方、T細胞の結核菌感染局所への動員を解析するツールとして、蛍光タンパクを発現する遺伝子組換え結核菌を作成した。これらの蛍光タンパク(GFP、DsRedまたはHcRed)を発現する結核菌を用いて、本年度にP3実験施設への導入が完成した倒立蛍光顕微鏡培養装置の微速度撮影システムでの解析を開始した。さらに、ケモカイン産生を誘導するインターロイキン(IL)-17が肺結核において重要な役割を果たすが、その機能を応用して、結核に対するワクチン株であるBCGを接種した動物の肺に結核菌抗原特異的IL-17産生T(Th17)細胞を誘導し、そのワクチン効果を検討した。その結果、肺Th17誘導を併用するとBCG単独より高い感染防御効果が得られ、IL-17が誘導するケモカインの重要性が示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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