研究課題
インフルエンザウイルスは、8分節に分かれたマイナス鎖RNAをゲノムとして持つ。この分節化ゲノムがウイルス粒子内に取り込まれるメカニズムに関して、我々は、個々のインフルエンザウイルス粒子が8種類のRNP(RNA分節)を1セット取り込むということを明らかにした。さらに、膜貫通型蛋白質であるM2がウイルス粒子においてRNPの近傍に存在すること、M2のcytoplasmic tailを11アミノ酸欠損させると、8本1セットのRNPがウイルス粒子内に取り込まれなくなり、中空のウイルス粒子が産生されることを見出した。以上の結果から、RNP(multi-segmental complex)のウイルス粒子内へ取り込みに、M2が必須の役割を担うことが示された。次に、M2と相互作用しうる宿主因子に着目し、質量分析法により、M2と相互作用しうる665種類の宿主因子を同定した。さらに、これらの宿主因子の中から、細胞質に存在し、かつ、細胞内輸送に関与しうる約200種類の宿主因子に着目し、siRNAスクリーニングを実施した。その中から、RNPの細胞内輸送あるいはウイルス粒子内への取り込みに関わる宿主因子は見出すことができなかったが、M2の細胞内輸送に関与し、発現抑制によりウイルス増殖を優位に抑制する宿主因子を同定した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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J Virol
巻: 90 ページ: 1839-48
10.1128/JVI.01597-15.
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