研究課題/領域番号 |
25293109
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
木村 宏 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30303621)
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研究分担者 |
伊藤 嘉規 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20373491)
瀬戸 加大 久留米大学, 医学部, 教授 (80154665)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ウイルス発がん / EBウイルス / 遺伝子解析 |
研究実績の概要 |
種痘様水疱症関連リンパ腫は、2008年に改訂されたWHOのリンパ腫分類にて、新たに定義づけられたEBV陽性のT細胞性腫瘍である。平成25年度および26年度、この種痘様水疱症関連リンパ腫患者5例に対してアレイ(Comparative genomic hybridization) CGH解析を行い、複数の共通する遺伝子欠損・増幅領域を見出した。解析したすべての患者で欠損していた遺伝子“X”は、これまでの文献報告から推定される機能と併せ、がん抑制遺伝子である可能性がある。また、全ての患者で増幅が見られた遺伝子座17q21.3にはリンパ球のhomingに関連する遺伝子が含まれており、種痘様水疱症関連リンパ腫に見られる特徴的な水疱疹形成・腫瘍の転移に関与している可能性がある。多数例の種痘様水疱症関連リンパ腫患者に対して、Multiplex Ligation Probe Amplification (MLPA) 解析により、遺伝子Xの欠損の確認を行った。また、腫瘍細胞からRNAを抽出し、RT-PCR法により該当遺伝子の発現を調べた。次いで、アレイCGH解析に加え、シークエンシング/発現解析を行い、種痘様水疱症関連リンパ腫と関連していると考えられる遺伝子候補を絞り込んだ。更に、EBV陰性/陽性のT細胞株を用いて、これらの遺伝子候補についてのin vitroの機能解析を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度までの目標であった、「アレイCGH法により、種痘様水疱症関連リンパ腫に共通する遺伝子欠損・増幅を確認し、シークエンシング/発現解析を行い、種痘様水疱症関連リンパ腫と関連していると考えられる遺伝子候補を絞り込んでいること。更に、これらの遺伝子候補についての機能解析に着手していること。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、平成25 年度および26 年度に同定した2つの候補遺伝子について、以下の機能解析を行う。 1) 該当遺伝子が欠損している患者末梢血より、EBV 陽性T 細胞株を樹立する。2) 細胞株において、該当遺伝子が欠損・増幅していることを確認する。3) 細胞株に欠損遺伝子を、Tet-on システムを用い発現調節をできるように、導入する。4) 導入遺伝子をon/off し、細胞増殖、アポトーシス誘導、cell cycle の変化などを見る。5) 導入遺伝子をon/off し、その機能および伝達経路の変化を調べる。 上記のin vitro 解析に加え、免疫不全マウスを用いたex vivo 腫瘍モデルを用い、遺伝子の機能解析を行う。手順は以下の通りである。 1) 遺伝子改変免疫不全マウスであるNOD/Shi-scid/IL-2Rγ;null (NOG)マウスに細胞株を皮下注、腫瘍を形成させる。2) 遺伝子発現をドキシサイクリンでon/off し、腫瘍形成・転移・生死への影響を比較する。
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