研究課題
昨年度に引き続きHCVの長期複製増殖とがん化誘導との関係を解明することを目的として4項目(項目1を重点的に)につき研究を行った。(1)HCVの長期複製により発現変動を示した宿主遺伝子に関する解析:発現レベルが顕著に減少した2遺伝子(CPB2とBASP1)のうち、CPB2に焦点を絞って、その発現制御機構に関与する宿主因子の同定を試みた。これまでの研究でCPB2の発現における責任転写因子であるHNF1に対して制御機能を有する未知の宿主遺伝子(脱メチル化剤で発現誘導される)の存在が示唆されたことから、今年度はHCVが長期に複製している細胞に脱メチル化剤処理を行い、処理後に顕著な発現変動を示す遺伝子をcDNAマイクロアレイ解析により探索した。その結果、CPB2を含めた14種類の遺伝子を選択同定した。しかし、これらの遺伝子を単独で上記の細胞で一過性に発現させたが、CPB2の発現レベルの有意な上昇を認めるところまでには至らなかった。(2)HCVの長期複製により発現変動を示すmiRNAに関する解析:発現低下したmiRNA-34aとmiRNA-22の標的遺伝子の解析を昨年に引き続き行ったが、上記細胞における標的遺伝子を同定するまでには至らず、更なる検討が必要であった。(1)と(2)の研究成果はActa Medica Okayama 誌に原著論文として掲載された。(3)HCVの長期複製によるExosomeの質的変動に関する解析:本研究において開発したExosome調製法を用いて検討した結果、HCVの長期複製によりExosomeの産生量が低下する傾向にあることが分かった。(4)不死化ヒト肝細胞を用いた新規HCV複製細胞モデルの開発:昨年度に引き続き、種々の条件下でPH5CH8細胞を用いてHCVの複製効率の上昇を試みたが、有用なレベルには至らず更なる検討が必要であった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件)
Acta Med Okayama
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