研究課題
手足口病および重症中枢神経合併症の原因ウイルスであるエンテロウイルス71(EV71)の分子進化・遺伝的多様性を反映した一連のEV71変異株を作製し、受容体特異性・抗原性等のウイルス表現型、また、動物モデルにおける病原性発現について比較解析を行い、以下の結果を得た。1.リンパ球におけるEV71の宿主受容体であるPSGL-1結合性を規定する主要なウイルスカプシドアミノ酸としてVP1-145を同定した。VP1-145はウイルス粒子表面でVP1-244リシンと隣接し、VP1-145のアミノ酸の種類によりVP1-244リシン側鎖の向きが変化しPSGL-1結合性を規定することによりPSGL-1結合性を規定する分子スイッチとして機能することを、ウイルス学的・構造学的解析により明らかにした2.EV71粒子上の5回転軸に位置するVP1-145は、EV71分離株間で多様性を有し、①PSGL-1受容体特異性、②中和抗原性エピトープ、③低分子EV71カプシド結合物質との相互作用等、さまざまなウイルス表現型の変化に関与することを明らかにした。3.ヒトに近い動物モデルであるカニクイザルモデルを用いて、PSGL-1受容体依存性EV71感染・病原性発現機構を解析するため、PSGL-1結合に関与するアミノ酸が異なるPSGL-1結合株(02363-EG株)とPSGL-1非結合株(02363-KE株)を作製した。カニクイザル感染実験により、PSGL-1結合性を規定するアミノ酸VP1-145Gが、感染宿主内で迅速に適応変異(VP1-145E)し、PSGL-1非依存性に中枢神経病原性を示すことを明らかにした。PSGL-1非結合02363-KE株は感染個体内で効率よく増殖し、無菌性髄膜炎等中枢神経症状が強い傾向が認められた。EV71感染宿主個体内でのVP1-145適応変異と中枢神経病原性発現との関連性を示す結果と考えられる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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