研究課題
同種造血幹細胞移植患者の生命予後およびQOLを脅かす慢性GVHD(cGVHD)の細胞・分子基盤を解明することで、その新規治療、予防法開発の基礎を築くことを目的としている。H26年度までに、移植片中に混入する成熟T細胞(graft-T: gT)または骨髄前駆細胞から胸腺分化を経て再構築された細胞(reconstituted-T: rT)が、それぞれcGVHDの病態形成にどのような役割を果たすかについて検討した。C57BL/6→C3H.H2b minor histocompatibility antigen mismatch GVHDモデルにおいて、gTがrTの再構築および末梢組織への浸潤に抑制的に働いていること、またrTはgTの機能を抑制していることを見いだした。H27年度は、gTとrTの宿主抗原に対する反応特性を解析した。移植後40日目の慢性GVHD発症マウスからgTおよびrTを調整し、未処置C3H.H2bマウスまたはT細胞除去B6骨髄で再構築したC3H.H2bマウス(B6->C3H.H2b)から調整したT細胞除去脾臓細胞または肺非血球細胞と共培養し、増殖応答を解析した。gTは、未処置C3H.H2bとB6->C3H.H2bから調整したT細胞除去脾臓細胞いずれに対しても増殖応答を示したのに対し、rTは主にB6->C3H.H2bから調整したT細胞除去脾臓細胞に反応性を示した。また、gT, rTいずれも非血球系細胞に対する増殖応答は認めなかった。これらの結果から、移植後40日目のgTは、宿主抗原を直接および間接の2つの抗原提示経路で認識するが、rTは間接経路のみで宿主抗原を認識すること、また、いずれも非血球系細胞を認識しないことが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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