1. 微生物感染免疫応答の解析ではWTマウス、DCIR2欠損マウスにLM-OVAやHSV-OVAを感染させ、以下の感染免疫応答の比較検討を行った。1) サイトカイン産生能と感染致死:微生物感染後の血清中サイトカイン産生を経時的にELISA法にて測定した。さらに脾臓中の細菌やウイルスの感染量、感染致死率を計測した。2) CTL誘導能:微生物感染後6日目に脾臓CD8+T細胞を調整し、MHCクラスI-OVAペプチドテトラマー結合およびIFN-g産生CTLの生成をFACS解析にて測定した。得られた結果では、WTマウスと比較してDCIR2欠損マウスでは、微生物感染後の血清中サイトカイン産生の亢進、微生物特異的CTL応答の増強、脾臓中の細菌やウイルスの感染量の減少、感染致死率の低下が認められた。 2.免疫病態の解析では、WTマウス、DCIR2欠損マウスでの自己免疫性脳脊髄炎(EAE)について以下の比較検討を行った。1)病態評価(発症率、臨床症状):免疫後、免疫病態の発症率と病態スコアを計測した。2) T細胞活性化能:MOGペプチドを抗原としたWT cDCsとの共培養によるCD4+T細胞の増殖能を計測し、そのIFN-gとIL-17の産生量をELISA法により測定した。さらに、FACS解析にてIFN-g産生TH1細胞とIL-17産生TH17細胞の生成を計測した。得られた結果では、WTマウスと比較してDCIR2欠損マウスでは、EAE病態の増悪、自己反応性T細胞活性化の亢進が認められた。 以上の結果から、DCIR2はCD4+cDCsの活性化を抑制し、炎症反応、抗原特異的T細胞応答、免疫病態を制御することが明らかとなった。
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