研究課題/領域番号 |
25293121
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
斎藤 安彦 日本大学, 総合科学研究科, 教授 (00277485)
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研究分担者 |
中村 二朗 日本大学, 総合科学研究科, 教授 (30127112)
那須 郁夫 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (80112952)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 健康余命 / 部分的健康余命 / サリバン法 / 多相生命表 / 死亡率 / 健康状態間移動率 |
研究実績の概要 |
前年度終了した第6回日本大学「健康と生活に関する調査」の調査票の入力を行い、データが使用できるようになった。基本的な集計を行ったのち、第1回調査データから第6回調査データのリンクの作業を行い、縦断調査データとして使用できるよう作業を行った。第6回までのデータを使用して、健康余命の推計を始めた。また、第4回調査で初めて計測を始めた血圧や握力および第5回調査で初めて計測した体重・身長の健康への影響を分析した。血圧や握力と死亡との関係に統計的に有意な関係がみられたが、実測値の体重・身長と自己申告された体重・身長と死亡との関係には有意な差が見られなかった。現在、論文執筆の準備中である。 日本大学「健康と生活に関する調査」と東京都老人総合研究所が行った「高齢者調査」の二つの縦断調査データを用い、多相生命表の手法を用いた健康余命の推計を行い、健康状態間の移動率の変化が推計された健康余命に及ぼす影響を検証した。死亡率の変化が健康余命に与える影響が大きかった。 部分的健康余命の推計も国民生活基礎調査の1989年から2010年までのデータを用いて始めた。男女ともに20歳から64歳までの部分的健康余命は若干伸びてはいるがこの年齢グループは死亡率が低いため、目立った変化は見られなかった。 研究協力者のCarol Jagger博士を招へいし、サリバン法を用いて計算した健康余命の平均余命に対する割合を比較するためにテスト統計量の推計式を検討してもらった。これまで、テスト統計量の推計式が存在していなかったため、割合の比較を統計的に検証することができなかったが、Jagger博士が開発した推計式により、統計的な検証が可能となった。その結果は最新の"Health Expectancy Calculation by the Sullivan Method: A Practical Guide" (4th Edition)に掲載されており、科学研究費の助成を得てた旨、記載されている。健康寿命研究への貢献と考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究協力者との日程調整および国民生活基礎調査などのデータが使用できるタイミングが合わず、バイオマーカーと健康余命の関係、および握力などを用いた年齢の概念の研究が若干遅れている。また、コーホート部分的健康余命の推計も方法論的に解決しなくてはならない問題があり、若干遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
バイオマーカーと健康余命の関係および年齢の概念に関する研究は今年度、研究協力者の日程を確保してあり、データの目的外利用申請が認められた段階で共同研究を行うことを計画している。また、コーホート部分的健康余命の推計方法に関してはアメリカのデータが豊富であるため、アメリカのデータを用いて試算を行い、その結果を検討して、日本のデータに応用することを計画している。これまでの研究成果は今年4月に行われるアメリカ人口学会および6月に行われる健康余命研究者の学術会議であるREVESにおいてその一部を発表予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月に海外から研究者を招聘した際の宿泊費が,本年度予算で支払うには不足したため,残金を繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
新年度予算 基金分にて速やかに支払いを行う。
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