研究課題/領域番号 |
25293122
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 公益財団法人労働科学研究所 |
研究代表者 |
吉川 徹 公益財団法人労働科学研究所, 研究部, 主任研究員 (50332218)
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研究分担者 |
酒井 一博 公益財団法人労働科学研究所, 研究部, 研究主幹 (90072660)
鈴木 一弥 公益財団法人労働科学研究所, 研究部, 主任研究員 (90291898)
薬師寺 史厚 公益財団法人労働科学研究所, 研究部, 協力研究員 (20385909)
北島 洋樹 公益財団法人労働科学研究所, 研究部, 主任研究員 (20234255)
大神 あゆみ 公益財団法人労働科学研究所, 研究部, 協力研究員 (30591169)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 職業感染 / 針刺し / サーベイランス / PDCA / エピネット / 感染管理 / 労働災害 / HIV |
研究概要 |
本研究は、医療現場における針刺し切創事例データベースと多施設参加による針刺し切創モニタリングシステムの活用を通じて、労働形態に合わせた血液媒介病原体への曝露リスク低減策の介入研究を行うことにより、医療現場における「計画(Plan)-実施(Do)-評価(Check)-見直し(Act)サイクル(以下PDCAサイクル)」促進のための学術的知見を得るものである。平成25年度はエピネット日本版によるサーベイランス結果から針刺し鋭利器材損傷(Needlestick and sharps injuries: NSIs)の発生頻度を明らかにした。67施設から5,463例のNSIsが報告されたデータを解析し、100稼働病床当たりの1年間に発生したNSIs(NSIs発生率)は6.2で、病床数が増えると増加する傾向を認めた(p-trend<0.01)。受傷者の年齢は、20歳代が2,946例(53.9%)を占めた。40歳未満で病床数による増加傾向を認めた。職種別では、看護師2,838例(51.9%)、医師1,882例(34.4%)であった。原因器材は、使い捨ての注射針1,388例(25.4%)、縫合針910例(16.7%)、翼状針629例(11.5%)、薬剤充填式注射針424例(7.8%)、静脈留置針336例(7.8%)であった。静脈留置針以外では病床数による増加傾向を認めた。わが国におけるNSIs発生率は米国、韓国、台湾と比較して低く、リキャップ時の割合は米国より高かったものの台湾より低く、わが国での1996-1998年の調査報告に比べて約1/8に減少していた。これらの知見から、安全装置付き使い捨ての注射針の導入、若年代への教育、使用後の鋭利器材の廃棄方式の改善等の必要性が示唆された。 なお、平成25年から公益財団労働科学研究所にサーベイランス事務局を設置し、ネットワーク構築に活用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度でこれまでのエピネット日本版によるサーベイランス結果を海外の学術誌で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に得られた結果を活用して、現場介入研究を行う。また、個別リスクとして指摘された、若年者、採血関連、廃棄関連、安全器材別発生率などについて検討を行う。職業感染制御対策の継続性の視点から、今後も継続できるサーベイランス体制つくりを、エピネット日本版サーベイランス参加病院をもとに検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究実施のためのデータ分析、進捗管理、会計処理に研究補助者を必要とした。論文成果発表、学会出席、資料収集などに研究費を必要とした。 研究実施のためのデータ分析、進捗管理、会計処理に研究補助者を必要とする。論文成果発表(翻訳、校正など)、学会出席(8月ドイツ、9月福岡、2月神戸)、資料収集などの出張費用、データ分析用PC関連機器への予算を要する。共同研究にあたっての助言を得ている産業医科大学公衆衛生学教室(松田教授)との研究打合せ、感染管理認定看護師の養成研修における出張など費用を要する。
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