研究課題
基盤研究(B)
私達はアルツハイマー病治療候補化合物 spiro-imidazopyridine 誘導体 ST101 の臨床開発に加わり、2012年に ST101 の作用標的分子がT型カルシウムチャネルであることを発見した。本研究では ST101 の認知機能改善作用、抗うつ作用、アミロイドβ産生抑制作用における T 型カルシウムチャネルの関与を調べた。ST101はT型カルシウムチャネルを介して、海馬アセチルコリン遊離を促進した。認知機能改善効果はアセチルコリン遊離促進作用と相関し、T型カルシウムチャネル阻害薬でアセチルコリン遊離促進作用は消失した。ST101の抗うつ効果は海馬歯状回の神経新生促進効果と相関し、その効果はニコチン性受容体の阻害薬で消失した。アミロイドβ産生抑制効果をアルツハイマー病モデルマウス(APP23)で検討した。一ヶ月の投与ではアミロイドβ産生抑制効果は見られなかった。次に、ST101 誘導体を創製し、パッチクランプ法を用いてT型カルシウムチャネル活性化作用を指標にして、シーズとしての最適化を図った。その結果、さらに活性の強いSAK3 を創製した。海馬シナプス伝達長期増強 (LTP)を指標にして、ST101 との効果を比較した結果、ST101 はLTPに対して効果を示さないのに対して、SAK3 は有意にLTPを促進した。嗅球摘出マウスの行動薬理試験においてもSAK3は単回投与で認知機能を改善した。今後は、SAK3 の原末の安定試験、薬効薬理試験、毒性試験について、非臨床POCを取得する。
1: 当初の計画以上に進展している
ST101のシーズとしての最適化を進めるために、誘導体を合成し、その中で活性の高いSAK3 について国際特許(PCT/JP2013/51388)を出願した。電気生理実験および細胞実験において、SAK3 のST101に対する優位性のPOCを取得した。ST101およびSAK3 の中枢神経系の作用機序としてアセチルコリン遊離促進作用を確認した。
アルツハイマー病モデルマウスに SAK3 を2ヶ月間投与して、アミロイドβ産生抑制に対する効果をドネペジルと比較検討する。アルツハイマー病モデルマウスにおいてSAK3 慢性投与後に、脳内におけるアミロイドβの代謝関連遺伝子について検討し、アミロイドβ産生抑制の機序を明らかにする。T型カルシウムチャネルは心臓においても発現が高いことから、心臓毒性について検討する。
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