研究課題/領域番号 |
25293131
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
吉田 優 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00419475)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | メタボロミクス / がん / 質量分析計 |
研究実績の概要 |
日本社会の高年齢化に伴い、がん罹患者数、そして、がん患者死亡者数も増加してきている。そのため、治療可能な早期の段階のがんを簡便、かつ、非侵襲的に発見できる診断法の開発が必要とされている。そこで、本研究ではガスクロマトグラフ四重極型質量分析計(糖、糖アルコール、有機酸、アミノ酸)、液体クロマトグラフトリプル四重極型質量分析計(脂肪酸、リン脂質)、イオンペア液体クロマトグラフトリプル四重極型質量分析計(糖リン酸、核酸、補酵素)の3種の分析プラットフォームによる、消化器がん患者に対する包括的な血清代謝プロファイリング研究を実施し、代謝物プロファイルに基づいた新たながん診断法の確立を目的とした。平成26年度は、イオンペア液体クロマトグラフトリプル四重極型質量分析計によるアニオン代謝物分析系構築と、血清メタボロームデータベースの作成を行い、血清で分析できる約30種類の代謝物を決定できた。また、液体クロマトグラフトリプル四重極型質量分析計によるカチオン代謝物分析系も構築し、この系により約40種類の代謝物を検出できることを確認した。さらに、平成25年度に引き続き、消化器がん患者、ならびに、健常者血清の各種分析プラットフォームによる代謝物分析を進めた。また、平成27年度に実施する「血清メタボロームデータベースの評価とその実用化へ向けた検討」のためには、血液・血清の採取方法などについての情報も得ていく必要があると考え、採血時の絶食有無と血中代謝物との関係性についての検討なども開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は、イオンペア液体クロマトグラフトリプル四重極型質量分析計のプラットホームに基づいた血清中代謝物データベースの改良の必要性が出てきたため、その改良を完了した。また、液体クロマトグラフトリプル四重極型質量分析計によるカチオン代謝物分析系も構築し、血清中代謝物データベースを更新した。さらに、各種プラットフォームによる患者、ならびに、健常者検体の分析を進め、目標に近い検体数までの分析は終了したものの、目標数までには達することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度終了時点で、各種プラットホームに基づいた血清中代謝物データベースも完成され、さらに、消化器がん患者、ならびに、健常者血清の分析も継続的に実施できている。平成27年度も、引き続き、消化器がん患者、ならびに、健常者血清の分析を進めるとともに、「血清メタボロームデータベースの評価とその実用化へ向けた検討」のための各種基礎データ取りを進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度中に実施する計画をしていたヒト血清分析検体の目標分析数まで少し届かなかった。そのため、平成27年度に、一部、予算を繰越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度には、繰越した予算を用いて、平成26年度中に分析できなかった血清検体の測定・分析に使用するために必要な消耗品等の購入を行い、実験を実施する予定である。
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