研究課題
骨髄の機能と末梢組織のイベントはシグナル応答を介してお互いにポジティブあるいはネガティブにフィードバック調節されているものと予測される。これらの調節は疾患イベントの時のみならず健常人においても低次元のレベルでアイドリングしているものと予測している。今回の申請における検討にて、血小板VEGF-Aが骨髄予備能としての診断ツールになることの検討(再生不良性貧血での検討)を基礎として、一般的には末梢の疾患として捉えられている、動脈硬化、炎症病態、末梢神経障害、川崎病も血小板VEGF-Aの活性の影響下にあることを示し、それは即ち骨髄機能と密接に関係していることのエビデンスを得ることを最終的な目的として検討を進めてきた。止血栓は単純に止血の機能のみでなく、その後の創傷治癒の機能までも織り込まれている。従って診断学において止血栓はその大きさだけではなくその質も評価の対象になる。健常人の循環血中に存在するタンパク質・ペプチドの中で10倍以上もの多様性を有するものは稀であり血小板VEGF-Aはその稀な分子の一つである。本申請による最も顕著な実績として、肝細胞癌による肝切除後の肝再生過程における血小板VEGF-Aの動態と役割について明らかにして論文発表したことである (Aryal B, et al. A Switch in the Dynamics of Intra-Platelet VEGF-A from Cancer to the Later Phase of Liver Regeneration after Partial Hepatectomy in Humans. PLoS ONE 11(3):e0150446)。創傷治癒の骨髄へのシグナルは骨髄巨核球における血小板産生において血小板VEGF-Aの産生を調節して組織再生に寄与していることを明らかにすることにより本申請の目的を果たした。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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PLoS One
巻: 11 ページ: e0150446
10.1371/journal.pone.0150446.