研究課題/領域番号 |
25293133
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
加藤 和則 東洋大学, 理工学部, 教授 (60233780)
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研究分担者 |
加藤 聖子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10253527)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | エクソソーム / 卵巣がん / 腫瘍マーカー / フローサイトメトリー / EpCAM / CD147 |
研究概要 |
【フローサイトメトリーを用いた腫瘍特異的エクソソームの同定解析】 細胞から分泌産生されるエクソソームは平均直径数100nmの微粒子で有り、一般的なフローサイトメトリー機器の検出限界サイズと考えられている。当研究室で保持しているフローサイトメトリー(FACSCalibur)を用いて同定することができるかを検討した。まず最初に腫瘍細胞の培養上清中に産生されているエクソソームをExoQuick(SBI社)試薬を用いて濃縮単離し各蛍光色素で標識された抗体を用いて染色し、フローサイトメトリーで解析を行った。その結果、エクソソーム膜上に発現していると報告されているCD9, CD63, CD81が陽性のエクソソームを検出することに成功した。さらに腫瘍細胞で高発現しているEpCAM, CD147に対する抗体を用いてフローサイトメトリーで解析した結果、エクソソーム上にも腫瘍細胞と同様にEpCAM, CD147が発現していることを同定した。今後この結果をもとにFITC-CD63/PE-CD147/PerCP-Cy5-EpCAMの多重染色で腫瘍細胞由来エクソソーム(テクソソーム)を解析する条件を決定している。 【新規腫瘍マーカーX検出サンドウィッチELISAの樹立】 ヒト腺癌で高発現している腫瘍関連膜貫通型抗原Xは分子標的薬のターゲットとなっている分子である。この膜型分子は分泌型としても存在することが示唆されており、可溶化体Xの検出システムを構築することを目的とした。研究代表者が作成した抗X抗体と市販の抗X抗体を組み合わせることにより可溶化Xの検出系(サンドウィッチELISA)を樹立した。標準タンパクを用いて検出限界を解析した結果160pg/mLと高感度でXの検出が可能であった。卵巣癌細胞培養上清にこれら可溶化体が検出されることを確認しており、現在卵巣癌患者血清中の可溶化体Xの測定を計画中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究はほぼ計画通り順調に進んでいる。特にエクソソームをフローサイトメトリーで解析することに成功し、多重染色解析が可能となった。今後は多くの試料からエクソソームを単離しデータを蓄積する予定である。 また新規腫瘍マーカーXの測定ELISAを樹立することに成功したので、次年度は患者由来体液を用いた測定を行い、その有用性について検討を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進も計画に準じて行う予定である。研究計画に変更はないが、腫瘍由来エクソソーム(テクソソーム)および腫瘍マーカーXの特異的検出系を新たに確立した場合は、東洋大学の知的財産・産学連携推進センターと連携を図って実用化研究への発展を視野に入れて進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度にエクソソームの生化学的解析を実施する目的で化学発光検出機器の購入を予定していたが、大学共通研究機器として導入され購入の必要がなくなったために基金の次年度使用額が生じた。 新規腫瘍マーカーの高感度測定システムを確立するためにプレートワッシャー(50万円以下)の購入や、フローサイトメトリー解析のための抗体購入費、エクソソームに含まれる遺伝子解析を外部委託で計画している。
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