研究課題
本研究では末梢組織からの感覚入力が脊髄後角の神経細胞ネットワークでどのように情報処理され、上位中枢に出力されるかを明らかにするために、形態観察用の蛍光タンパク (GFP) だけでなく機能解析用のCa2+センサー蛍光タンパクを脊髄後角神経細胞に発現させたマウスを用いて平成26年度以降の研究実施計画1)~4)にそって、多光子励起顕微鏡を用いた研究を実施した。1)脳と異なり、脊髄は呼吸や拍動により、多光子励起顕微鏡で形態変化をin vivo で1分でも追跡するのは容易ではない。我々は神経特異的にYFPを発現するトランスジェニックマウスで炎症性疼痛モデルを作製し、6時間に渡り神経ネットワークの変化を形態学的に解析を行い、炎症直後から樹状突起上に新たなスパイン様構造が形成されること、炎症性疼痛モデルで多光子励起画像でシナプス数が経時的に増加すること、グルタミン酸受容体いずれの拮抗薬でもその経時変化が抑制されることを明らかにして報告した。2)抑制性介在ニューロンあるいは脊髄後角ニューロンに特異的なドライバーマウスを用いてCa2+センサー蛍光タンパクを発現するトランスジェニックマウスを作製した。PGE2あるいはEP受容体サブタイプの作動薬、拮抗薬を用いて、単独あるいはグルタミン酸の反応が修飾されるニューロンの解析をすすめた。脊髄後角から大脳皮質への神経伝達経路を明らかにするために、投射ニューロンの解析も平行して行った。以上のように本研究の所期の目的である、皮膚刺激の上位中枢への伝達の第1中継地脊髄後角での痛覚伝達の神経回路網の3次元機能解析系を多光子励起顕微鏡で確立し、その解析を推進できた。さらに、2)痛みと痒みの伝達経路のネットワークの違い、あるいは同一であるのかを明らかにするために、痒みのモデル系を立ち上げて解析を行った。以上のように研究計画にそって、順調に進んだと考えている。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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