研究実績の概要 |
1.大規模分子遺伝疫学解析に適した検体収集について、痛風2000例、健康診断サンプル5000例のゲノムDNAの収集と詳細な臨床データの整理を実施した。更に痛風のない無症候性高尿酸血症(AHUA)約1000例を解析出来る体制を整え、AHUAの一部のみが痛風を発症する機序について検討する。 2.ゲノムワイド関連解析(GWAS)による痛風関連遺伝子の全容解明を目指した研究を実施している。痛風患者約2000症例と健常者約2500例を用いたGWASを実施し、5つの痛風関連遺伝子領域の同定に成功した(Matsuo H, et al. Ann Rheum Dis: 2016, published in Feb, 2015)。現在、更なる詳細なGWASを実施している。 3.申請者らが最近までに見いだした痛風・高尿酸血症の新規病型分類のコンセプトを取り入れたサブタイプ解析を行うことで、複数の痛風関連遺伝子の同定に成功した(T.Chiba, et al. Arthritis Rheumatol 67:281-287, 2015. 他4報)。 4.個別化予防・個別化医療の観点からの痛風の早期予防法の開発として、健診参加者約5,000人を対象とした研究で、高尿酸血症の発症にはABCG2変異が環境要因と同様に重要であることを示した(Nakayama A, et al. Sci Rep 4: 5227, 2014)。日本人はABCG2機能低下型変異によるリスクが大きいことを明らかにしており(Sakiyama M, Matsuo H, et al. Drug Metab Pharmacokinet 29:490-2, 2014)、特に本邦における「痛風のゲノムテーラーメイド医療」の重要性が高いことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を推進していく過程で、痛風・高尿酸血症の新たなメカニズムの解明につながると考えられる成果として、新規関連遺伝子を見出すことに成功した(Matsuo H, Yamamoto K, et al. Ann Rheum Dis: 2016, published in Feb, 2015)。また、高尿酸血症の発症リスク評価に痛風関連遺伝子ABCG2変異の有無の判定が有用であることを示した(Nakayama A,Matsuo H, et al. Sci Rep 4: 5227, 2014)。 「ゲノム支援班」活動の支援をいただいていることで痛風のゲノムワイド関連解析を進めることが出来ており、日本多施設共同コホート研究(J-MICC STUDY)や理化学研究所等の研究施設の先生方との共同研究を推進させていただくことで、今後も研究を順調に進展できる状況にある。
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