研究実績の概要 |
1.大規模分子遺伝疫学解析に適した検体収集について、痛風2000例、健康診断サンプル5000例のゲノムDNAの収集と詳細な臨床データの整理を実施した。更に痛風のない無症候性高尿酸血症(AHUA)約1000例を解析出来る体制を整え、AHUAの一部のみが痛風を発症する機序について解析を進めることができた。 2.ゲノムワイド関連解析(GWAS)による痛風関連遺伝子の全容解明を目指した研究を実施している。痛風約2000症例と健常者約2500例を用いたGWASを実施し、5つの痛風関連遺伝子領域の同定に成功した(Matsuo H, et al. Ann Rheum Dis: 2016, published in Feb, 2015)。また、さらなる詳細なGWASを行い、新たに5個の痛風の遺伝子座(合計10個)を同定し報告した(Nakayama A, et al. Ann Rheum Dis 76:869-877, 2017)。 3.申請者らが最近までに見いだした痛風・高尿酸血症の新規病型分類のコンセプトを取り入れたサブタイプ解析を行うことで、複数の痛風関連遺伝子の同定に成功した(Sakiyama M, et al. J Rheumatol 41:1395-7, 2014. 他4報)。 4.個別化予防・個別化医療の観点からの痛風の早期予防法の開発として、健診参加者約5,000人を対象とした研究で、高尿酸血症の発症にはABCG2変異が環境要因と同様に重要であることを示した(Nakayama A, et al. Sci Rep 4: 5227, 2014)。日本人はABCG2機能低下型変異によるリスクが大きいことを明らかにしており(Sakiyama M, Matsuo H, et al. Drug Metab Pharmacokinet 29:490-2, 2014)、特に本邦における「痛風のゲノムテーラーメイド医療」の必要性が高いことが示された。
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