研究課題/領域番号 |
25293146
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研究機関 | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
溝上 哲也 独立行政法人国立国際医療研究センター, 臨床研究センター, 部長 (60269074)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 栄養疫学 / リスクモデル / 脂肪酸 / 鉄 |
研究概要 |
本研究の目的は、科学的根拠に基づく糖尿病予防対策の推進に資するため、大規模職域集団において、ハイリスク者の同定及び早期介入に役立つ簡便で精度の高いリスク予測ツールを開発すること、また、糖尿病に予防的な食事要因を解明することである。 1)糖尿病リスクスコアの開発と評価: 職域多施設研究に参加している11施設より、2008年から2012年の5年間分の職域健康診断データの提供を受け、縦断解析が可能な統合データベースを作成した。このデータを用い、糖尿病の有病率を性・年齢別、リスク要因別に算出した。また、侵襲データを含む場合と含まない場合の2通りの糖尿病リスクスコアを作成し、その妥当性を検証する解析手法を確立した。 2)糖尿病と血中栄養成分に関する前向き研究: 2008年の健康診断時に残余血清の提供を受けた約6000名の職域集団について、2012年までの5年分の健康診断データを整理した。コホート解析が可能なデータベースを作成、追跡期間中の糖尿病発症を同定する解析プログラムを作成した。肥満や運動習慣など糖尿病リスク要因と糖尿病発症との関連を分析した。 3)糖代謝異常と栄養成分に関する断面研究: 関東地方のある企業において健康診断時に栄養疫学調査を実施し、食生活調査のほか研究用採血を行った。従業員約1000名から研究参加について同意を得た。すでに調査を終えている他の施設のデータと併せ、約2000名の栄養疫学データを構築した。凍結保存血清中のインスリンとフェリチンの濃度を測定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の柱となる3つの疫学調査のいずれもが、参加施設の協力を得て、調査資料の収集が順調に進んでいる。特に職域多施設大規模疫学データベースの構築が円滑に進み、当初、2年目に行うことを予定していたリスクスコア開発の解析手法の確立と予備的検討まで進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後もおおむね当初の計画に沿って進める。リスクスコア開発については、3年後及び5年後の2つのスコアを開発する。血中栄養成分に関する脂肪酸分析については、当初考えていた研究機関での測定が難しいことが判明したため、別の研究機関の研究者に測定を依頼し、了解を得た。2015年春に、2012年に栄養疫学調査した職域集団において3年目調査を実施し、栄養成分と糖尿病発症との縦断的関連を調べる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究初年度に予定していた海外出張が年度末から新年度に渡ったため、その旅費を初年度ではなく2年目の研究費から支出することとしたため。また、調査の進捗状況や保存検体の有効活用を考慮し、栄養成分などに関する検体測定の一部を見直し、翌年度以降に行うこととしたため。 海外出張費(終了)に充てる。また、断面調査やコホート内症例対照用に保存している血清検体を用いて脂肪酸組成及びフェリチンなどの栄養要因の分析を進める。また2015年4月に予定している追跡調査の準備のため、調査票の印刷や調査用の物品を購入する。
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