研究課題/領域番号 |
25293147
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
小久保 喜弘 独立行政法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (20393217)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 心房細動 / 危険因子 / 追跡研究 / 生活習慣 / リスクスコア― |
研究概要 |
心房細動は脳塞栓や心不全のリスクであり、発症前に心房細動を早期に予測することが予防医学として極めて重要であるが、我が国の心房細動罹病に関するリスクスコアーがない。そこで、都市部地域住民を対象に、心房細動の罹病・予防リスクを検討し、心房細動のリスクスコアーを作成し、また簡易型心電計を用いて心房細動の有病率を検討し、我が国の心房細動予防に貢献できるエビデンスを提示することを目的とする。 心房細動罹病リスクについては、古典的リスクでは過体重が独立した危険因子であり、前高血圧症と交互作用があることを以前示し、過剰飲酒、喫煙が独立した危険因子であり両者を有すると心房細動の危険度が2.1倍になった。睡眠時間が6時間未満と睡眠時間が不規則であると心房細動罹病リスクが有意に高かった。糖尿病は過体重を有していて心房細動のリスクになり、メタボリックシンドロームに依る心房細動罹病リスクは1.3、内臓肥満(腹囲:男性≧85cm、女性≧80cm)と血圧高値(≧130/85mmHgまたは高血圧治療)の心房細動罹病リスクは1.4であった。家族歴では、母親の高血圧がない場合には高血圧以上で、母親の高血圧があると前高血圧以上で心房細動罹病が有意であった。母親の心筋梗塞既往がなく高血圧を有すると心房細動罹病リスクが1.4、母親の心筋梗塞既往があり高血圧を有すると心房細動罹病リスクは2.9となった。心雑音を有すると心房細動の罹病リスクは2.2倍であった。 ホルター心電図を各種検討した結果、最軽量で地域住民に簡便なスズケンのCardy 303 pico+を選定した。倫理委員会で承認を受けて地域住民の同意を得てホルター心電図検査を実施開始して、現在100名を超えて対象者データを収集中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
心房細動罹病リスクに関する研究は、ほぼ順調に進んでいる。平成26年度には心房細動罹病リスクスコア―作成に向けて研究を推進する。 ホルター心電図検査については、地域住民を対象に実施するため、パッチによる腫れの対応など、またホルター装着の健診時でのタイミング、検査技師の体制などで立ち上げが8月からとなり、かなり時間を要した。現在は症例を収集し始めているので、鋭意精力的にデータ収集に専念しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
(1)心房細動罹病リスクに関する研究: 引き続き、平成25年度の心房細動罹病リスクの検討を行い、研究成果を出していく。 (2)心房細動罹病のリスクスコアーに関する研究: 引き続き、研究成果から統計的に有意な項目が、他の変数と交互作用がないかどうか検討して、リスクスコアーのモデルに入れていき、我が国初のリスクスコアーを作成し論文化する。 (3)心房細動の詳細な計測に関する研究: 昨年度に引き続き研究対象者全員にパッチ型簡易心電計を貸与して、データ収集を行う。 (4)研究成果の啓発: 心房細動罹病リスクの研究成果をホームページに掲載して啓発を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
・海外出張で研究成果発表予定が、当初年度内であったものの、途中で年度をまたぐ事になり、本研究費で執行できなくなった。 ・ホルター心電図検査の立ち上げに時間がかかり、それに伴う必要経費を次年度に回すため。 ホルター心電図で使用するパッチなどの消耗品に使用する予定である。
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