研究分担者 |
川西 正祐 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (10025637)
及川 伸二 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10277006)
翠川 薫 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), リサーチアソシエイト (20393366)
平工 雄介 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30324510)
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研究実績の概要 |
感染症および慢性炎症は発がんにおいて重要な役割を果たす。炎症由来の活性酸素や活性窒素種によるDNA損傷や脂質・タンパクの酸化は、突然変異の蓄積・ゲノム不安定性や更なる酸化ストレスを生じ発がんに至るのみならず、神経細胞での傷害は逆に細胞死に至り、神経変性疾患の原因となる(Int J Mol Sci 16:193-217, 2014. review)。エピゲノム異常は感染や喫煙、食餌性因子などの環境因子が形質発現に対し可逆的に作用することが報告されている。予防法の試みとして、コエンザイムQ10の摂取により健常者においても尿中DNA酸化物の減少を認めている(J Med Food, 2015, Epub ahead of print)。また、メラトニンはハムスターを用いたタイ肝吸虫感染胆管癌モデルにおいてがん抑制効果があり、プロテオミクス解析により発がん機構へのミトコンドリアの関与が示唆されている。メラトニンがヒト胆管癌培養細胞に対してミトコンドリアのDNA酸化損傷を介して細胞死を誘導することを明らかにした(Oncol Rep 33: 1443-1449, 2015)。タイ肝吸虫感染胆管癌患者の手術標本からDNAを抽出し、メチル化DNAを濃縮し、次世代シークエンサーによりDNAメチル化異常を解析し、酸化的DNA損傷の強い群においてプロモーター領域が低メチル化となり、発現上昇している遺伝子を見いだした(日本癌学会総会において発表予定2015年10月)。喫煙・飲酒による炎症がハイリスクとなる頭頸部癌におけるmicroRNAの発現変動を検討し、血中のmicroRNAをバイオマーカー候補として見いだした(Cancer Biol Ther, 2015)。炎症とmicroRNAに関し、花粉症発症により変動するmicroRNAと免疫療法によるその抑制を明らかにした(Allergy Rhinol 6:33-38, 2015)。
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