研究実績の概要 |
生活習慣病にまつわる健康関連認知行動の変容を促す効果的なアプローチとして、認知行動療法が注目されている。しかし、認知行動療法は特別の訓練を要し施術可能な医療技術者が限られているため、多数の患者に提供することは困難である。そこでわれわれはスマートフォンを利用した普及型の認知行動療法を開発し、生活習慣病に関連した大きなリスクファクターの一つであるうつ病に対して標準治療とのあいだで比較する無作為割り付け比較試験を実施し、①両者の有効性を比較し、②各治療への適応の予測因子を検討すべく研究を進めた。平成26年9月から名古屋市立大学病院および高知大学病院およびその関連クリニックの計4施設でパイロット試験を開始し、27年9がつから北海道大学病院、東邦大学病院、広島大学病院およびその関連クリニック・病院の合計20施設に参加施設を広げて、患者のエントリーを進めた。その結果、当初予定よりも半年遅れであったが、9月には予定症例数164例のエントリーおよび追跡を終了し、29年1月にデータを固定し、さらに解析を進め、29年4月に論文を投稿した。論文は10月に最終的にアクセプト、出版された。 Mantani A, Kato T, Furukawa TA, Horikoshi M, Imai H, Hiroe T, Chino B, Funayama T, Yonemoto N, Zhou Q & Kawanishi N (2017) Smartphone Cognitive Behavioral Therapy as an Adjunct to Pharmacotherapy for Refractory Depression: Randomized Controlled Trial. Journal of Medical Internet Research, 19, e373. その間、7月には国際認知療法学会で発表した。その後、さらに治療メカニズムの研究を進めた。
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