研究課題/領域番号 |
25293151
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
上島 通浩 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80281070)
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研究分担者 |
仲井 邦彦 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00291336)
上山 純 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00397465)
伊藤 由起 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80452192)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 環境対応 / 人間生活環境 / 有害化学物質 / 社会医学 |
研究実績の概要 |
胎児期は化学物質への感受性が高い時期であるが、生体内半減期の短い非蓄積性殺虫剤のリスク評価に必須な曝露と影響の実態の把握が遅れている。本研究では、愛知県と宮城県に都市部と農村部からなる出生コホートを設定し、1)妊娠中の尿中殺虫剤代謝物濃度および妊婦の曝露量の地域差、2)尿中代謝物量と児の成長・発達との関連を明らかにすることを目的とする。本研究の実施により、妊娠中の殺虫剤への曝露の実態が明らかにできる。すなわち、胎児期において根拠に基づいた効率的な曝露評価法の構築が可能になり、我が国における殺虫剤のリスク評価に貢献できる。 2014年度は、愛知および宮城でコホート試料を継続収集した。研究開始時から名古屋市立大学に収集した妊娠前半期の尿は2,229人分、妊娠後半期の尿は2,488人分となった。このうち、1回目の採尿を妊娠16週以前に実施でき、試料量が十分確保できた21人を抽出し、有機リン系殺虫剤代謝物であるジアルキルリン酸4種類、ピレスロイド系殺虫剤代謝物2種類、ネオニコチノイド系殺虫剤6種類の測定を行った。有機リン系およびピレスロイド系殺虫剤については、全員が妊娠前半期、後半期の尿で代謝物を検出したが、ネオニコチノイド系殺虫剤については、いずれかの薬剤が検出された参加者は、前半期42%、後半期48%であった。検出率が高かった有機リン系、ピレスロイド系殺虫剤について、妊娠前半期、後半期の尿中濃度を比較したところ、有機リン系殺虫剤代謝物ジエチルチオリン酸、ピレスロイド系代謝物ジクロロビニルジメチルシクロプロパンカルボン酸については、後半期の濃度が高い傾向を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
尿試料収集に多くのエフォートが必要であったため、殺虫剤代謝物の測定、特に、尿中の殺虫剤および代謝物の地域差の比較が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、妊娠中の代謝物濃度の推移や、地域差の比較を重点的に推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
尿試料収集に当初の予想を超えた多大なエフォートが必要であったため、殺虫剤代謝物の測定に十分なエフォートを割けなかった。このため、分析費用の一部を次年度に繰り越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
有機リン系殺虫剤およびピレスロイド系殺虫剤の代謝物、また、ネオニコチノイド殺虫剤を尿中で分析するための費用として使用する。
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