研究課題/領域番号 |
25293153
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
吉益 光一 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (40382337)
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研究分担者 |
竹下 達也 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20150310)
牟礼 佳苗 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90268491)
竹村 重輝 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (70511559)
宮下 和久 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50124889)
津野 香奈美 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30713309)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 精神保健 / 遺伝子多型 / アルコール関連障害 / 成人保健 |
研究概要 |
近畿地区の公務員を対象に、精神疾患簡易構造化面接(MINI)とアルコール代謝関連酵素遺伝子(ADH1B, ALDH2)多型解析を実施し、関連性を検証した。解析総数は1944名(参加率79.6%)であり、申請段階での予想である2000名とほぼ一致していた。対象とした精神疾患は、気分障害、不安障害、摂食障害、物質関連障害など統合失調症と人格障害を除く障害をほぼ全て網羅している。 解析の結果、アルコール感受性が最も低いと考えられるADH1B,ALDH2がともに野生型ホモの者、すなわち最も酒に強いと考えられる者は、アルコール感受性が高い者、すなわちADH1B, ALDH2ともに変異型アレルを有する者を基準とした場合、アルコール関連障害のみならず、他の精神疾患、特にうつ病性疾患と不安障害のリスクが有意に増大していた(うつ病と不安障害を合わせたオッズ比4.32、95%信頼区間 1.37-13.64)。特に非飲酒者の中で、アルコール感受性が最も低いと考えられる群の精神疾患に関するオッズ比は、5.43 (95%信頼区間 1.05-28.23)であった。アルコール関連障害については、野生型アレルの数が増大するに伴って疾患のリスクも有意に増大していた。酒に強い非飲酒者において何故精神疾患のリスクが高まるのかについてはいくつかの理由が考えられるが、いずれも推測の域を出ない。本研究の限界点である。 これらの結果は2編の原著論文にまとめ、1編については投稿中である。また一部の結果を2014年3月上旬に開催されたヨーロッパ精神医学会において、口演により発表した。以上より、ほぼ所期の目的を達成し得たと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では約2000人の職員を対象として調査を行う予定であった。実際には1944名であったため、ほぼ予定通りである。初年度の結果をまとめた原著論文1編も投稿中である。 一方定期健康診断結果の研究への利用については、現在のところ目途が立っておらず、この点のみが想定外であった。
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今後の研究の推進方策 |
公務員に関しては、健康診断結果の研究利用への交渉を継続すると同時に、今後は対象を地域住民へと変更し、従来の計画通りに研究を進める計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
遺伝子解析結果を期限内に対象者に通知する必要があったため、一部の解析を外部研究機関に委託したので、解析の試薬等の消耗品が予想より少なくなった。 次年度の対象者である一般住民に対する調査協力謝金に充当する。
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