研究課題
申請者は昨年、MDMAと同じフェネチルアミン類で危険ドラッグ成分として近年多量に流通している2-(4-bromo-2,5-dimethoxyphenyl)-N-[(2-methoxyphenyl)methyl]ethanamine(25B-NBOMe)を服用した後、セロトニン症候群と臨床診断され死亡した症例を経験した。MDMAはセロトニントランスポーターの取り込み阻害作用により、25B-NBOMeはセロトニン受容体と結合することにより、セロトニン受容体を刺激して精神作用を惹起するため、両者ともセロトニン症候群の発症リスクを以前から指摘されていたが、発症症例の報告はなく不明な点が多かった。また最近、セロトニン受容体刺激がミトコンドリアのバイオジェネシスを誘導することが明らかとなり、セロトニンのミトコンドリア機能への関与が示唆されている。そこで本年度は、25B-NBOMeをラットに投与して、セロトニン症状の1つである高体温とミトコンドリア機能の関係について検討した。23℃の環境下では25B-NBOMeによる体温の上昇はなかったが、29℃の環境下では39-40℃程度の高体温となった。心電図にはどの群にも異常はみられなかった。熱産生機構としては褐色脂肪組織あるいは骨格筋を介したものがあり、いずれもミトコンドリアの脱共役タンパク質(UCP)の関与が疑われるため、25B-NBOMe投与後のラットから褐色脂肪組織や骨格筋のミトコンドリアを単離し、UCPの発現量やノルアドレナリン濃度などを測定し、ミトコンドリアの熱産生機能を評価している。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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