研究課題
GADD34遺伝子欠損マウスが老化するにつれて、肥満から2型糖尿病になり、脂肪肝を発症し、慢性肝炎、肝硬変へと移行することをこの研究で発見した。この興味深い発見の解析のために、マウスが老化するのを待って、肝臓、脂肪組織の組織解析、免疫染色をはじめ、Western blotting による生化学的検査、PCRによる遺伝子解析を行った。実験に使用したのは雄のWTとGADD34遺伝子欠損マウスであり、年齢による変化を詳細に解析した結果、GADD34遺伝子欠損マウスは6ヶ月で肥満がスタートし、インスリン抵抗性が亢進して、2型糖尿病になった。肝臓は脂肪肝であることを組織染色で確認し、その後、年齢が進むにつれて、慢性肝炎、肝硬変、肝臓癌を発症してくることを、肉眼所見、組織染色で明らかにした。鼠蹊部脂肪組織はWTに比べ明らかに増大していて、マクロファージが活性化し、炎症性サイトカインTNFαを放出し、これがインスリン抵抗性を誘起する1つの原因であることを確認した。さらに、Western blottingによって、若いGADD34遺伝子欠損マウスはインスリンシグナリングが亢進していることも発見し、これが老化による肥満、2型糖尿病になることで逆転するという面白い現象を見出した。インスリンシグナリングは胎児繊維芽細胞においてもGADD34遺伝子欠損マウスで亢進していて、脂肪細胞の分化にインスリンシグナル系が関与すると事実と呼応する。さらに高脂肪食を投与すると、WTよりもGADD34遺伝子欠損マウスはより強く肥満になった。この場合もGADD34遺伝子欠損マウスは脂肪肝を呈した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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