研究課題
基盤研究(B)
本年度は、PSCA遺伝子多型の疾患リスクに及ぼす影響について検討した。胃潰瘍4288症例、膀胱癌 545症例、肺癌 2005症例及びコントロール16567名の解析の結果、PSCA多型と疾患発症リスクと関連する事を明らかとした。またリスクアレルは、膀胱癌、肺癌は胃癌と、胃潰瘍は十二指腸潰瘍と一致していた。また肺癌組織おいてPSCAの発現をTissue arrayで検討した結果、PSCAの発現が上昇していることが示された。さらに新規のピロリ菌関連予後因子の同定を目的として、胃内視鏡検査受診者から胃粘膜、血液の収集を開始した。これまでに100症例の収集が進んでおり、胃病変の有無や除菌効果、ピロリ菌の薬剤耐性などの情報を蓄積している。これらの患者は、半年後のfollow up 内視鏡を予定しており、今後時系列で予後情報を収集する予定である。またPSCA分子の発癌、潰瘍形成における生理的な意義を明らかにする目的で、PSCAの機能解析を進めた。その結果、膜型PSCAは細胞外で切断を受けて分泌される事が明らかとなった。一方、細胞質型のPSCAは分泌されなかった。PSCAは様々な癌で高発現することから、現在PSCAのELISAによる測定系の構築を進めており、癌マーカーとしての有用性の検討を予定している。これらの成果を通じて、遺伝情報に基づくピロリ菌感染患者に対する個別化医療の実現に向けた検討を更に進める予定である。
2: おおむね順調に進展している
H25年度において、PSCA多型が複数の疾患発症に関わることを明らかとし、またその分子機構についても有用な治験が得られた。現在新規症例のリクルートも進めるなど、個別化医療の実現に向けて順調に進展していると考えられる。
今年度以降は、追加症例を用いた全ゲノム関連解析によって新規の疾患発症関連遺伝子の同定を進めていく。既存の遺伝子多型に加え、新規の遺伝因子やバクテリア側の因子を組み合わせることで、疾患発症のメカニズムの解明だけでなく、予後や副作用の予測、新規の治療法の開発を目指す予定である。
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Plos one
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