ヘリコバクター・ピロリ菌は最も頻度が高い病原性細菌の一つであり、感染者における疾患発症機構の解明及び個別化医療の実現を目的として研究を実施した。これまでにPSCA多型が胃潰瘍及び膀胱がん、肺がんの発症に関わる事、がん患者において血中PSCAが高値となることを示した。また400名の内視鏡受診者の血液および生検組織の解析結果から、胃粘膜組織におけるPSCAの発現と遺伝子多型が関連を示すこと、また胃がんのリスクが高いTT型を持つ人では除菌後のPSCA発現が顕著に上昇することが明らかとなった。除菌後胃がんにおいては、PSCAの発現上昇が寄与していると示唆され注意深い経過観察が必要になると考えられる。
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