研究課題
平成27年度においては、慢性膵炎の発症に関わる免疫反応について、解析を進めた。この目的のために、cholecystokinin受容体アナログであるセルレインとNOD1 ligandであるFK565の同時投与により、誘導される新規慢性膵炎モデルを樹立し、このモデルを用いて、解析を進めた。前年度までに、膵炎の発症にNOD1の活性化を介するI型IFN経路の活性化とIL-33の産生が関与することを見出している。本年度においては、この新規膵炎モデルを用いて、以下の事実を明らかにした。1)膵臓腺房細胞が産生するIL-33をST2抗体を用いることにより、そのシグナル伝達経路を阻害することによって、慢性膵炎の発症が抑制された。2)IL-33はT細胞より産生されるIL-13を介して、膵臓のFibrosisを誘導する。3)このモデルでは、膵臓に浸潤するマクロファージがTNF-alphaを産生することにより、膵臓腺房細胞からのIL-33の産生を誘導する。以上の結果より、NOD1とcholecystokinin受容体が相乗的に作用することにより、膵臓腺房細胞からIL-33の産生が誘導されること、誘導されたIL-33に反応してT細胞がIL-13を産生し、膵臓のFibrosisを引き起こすことを明らかにした。さらに、IL-33の産生には膵臓に浸潤するマクロファージが産生する炎症性サイトカインが寄与することを見出した。このように、本研究においては、IFN-beta-IL-33-IL-13という膵炎の発症に関わるサイトカインネットワークと免疫細胞の関係を明らかにすることができたと考える。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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