腸内細菌の全身臓器への移行は膵炎患者において、しばしば観察されるが、腸内細菌に対する免疫反応が膵炎の発症に果たす役割は不明である。本研究においては、自然免疫反応受容体であるNOD1の活性化が膵炎の発症に果たす役割について、検討した。NOD1 リガンドであるFK565とcholecystokinin (CCK)アナログであるCeruleinの投与により、線維化と炎症細胞浸潤を伴う慢性膵炎の誘導が可能であった。NOD1はCCK経路と協調して、腺房細胞からのIL-33とIFN-betaの産生を誘導した。腺房細胞によるこれらの自然免疫反応はTh1とTh2反応の双方を誘導し、膵炎を惹起すると考えられた。
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