研究課題
最終目標である免疫細胞を保持するヒト肝細胞キメラマウス作製とB型慢性肝炎モデルを構築するために、HLA既知のiPS細胞から成熟肝細胞に分化させ、TK-NOGマウスへの移植実験を行う施設内の動物実験の許可及び実験環境は整った。1、ヒトiPS細胞由来肝細胞の成熟化に向けた検討:より成熟したヒトiPS細胞由来肝細胞を作製するため、分化に有用な添加因子の探索を行った結果、複数の因子を見出した。これらを肝細胞への分化誘導時に用いることで、主要な薬物代謝酵素であるCYP3A4などの薬物代謝酵素の発現上昇が認められた。また、リファンピシンを添加することで、プレグナンX受容体(PXR)を介したCYP3A4の発現誘導も認められ、より成熟したヒトiPS細胞由来肝細胞の作製が可能となった。2、ヒト肝キメラマウス作製に向けた検討:細胞移植に有用と考えられるスフェロイドを形成させる3次元培養により肝細胞へ分化誘導を行った。また、100%異種動物肝臓をもつキメラマウス作製のため、現在ラットES細胞をマウス受精卵に移植する方法を行っている。受精卵が8細胞まで分裂した段階において、ラットES細胞を受精卵に直接導入する方法(injection法)ならびに受精卵の透明帯を破壊した後、ラットES細胞を付着させる方法(aggregation法)の2通りでキメラマウスの作製を試みている。これまでに、マウス肝臓の約30%程度までラット肝臓に置換することが可能となった。3、キメラマウスの作製:ヒトiPS細胞から肝細胞に分化誘導22日後に細胞を剥離し、スフェロイド形成し、その後浮遊培養した。移植用のマウスは免疫不全のTK-NOGマウスにガンシクロビルを投与し、肝障害が確認されたのちに、分化した肝細胞を門脈経由で移植した。現在、飼育中であり近日中に置換率を解析するために採血を行い、ヒトアルブミンを解析予定である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件)
Hepatol Res.
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1111/hepr.12612.
J Hepatol.
巻: 63 ページ: 546-553
10.1016/j.jhep.2015.03.020.
Virol J.
巻: 12 ページ: -
10.1186/s12985-015-0389-y.
Organ Biology
巻: 22 ページ: 39-48