研究課題
我々は肝臓では星細胞のみに発言する哺乳類第4番目のグロビンであるサイトグロビン(Cytoglobin, Cygb)の生体内機能を明らかにする目的でCygbノックアウトマウス(Cygb KO)を作出した。ジエチルニトロサミン(diethylnitrosamine, DEN)22ppmを投与するモデル実験でCygb KOは野生型に比較して優位に肝がん発生率が上昇し、背景肝においては酸化ストレスの亢進、線維化反応の増強、星細胞の活性化を確認した。次に、ヒトの脂肪性肝炎の病態に近いモデルとしてコリン欠乏食(CDAA食)を投与して検討した結果、野生型マウスでは肝臓に脂肪沈着と線維化が生じる条件においてCygb KOでは雄雌マウスの両方で100%の確立で肝がんが生じた。背景肝ではマクロファージや好中球の浸潤が高度であり、また、線維化反応の増強が見られた。それに一致するようにケモカイン、transforming growth factor-β、myeloperoxidaseの発現増強が見られた。この発がん反応はN-acetylcysteineの投与により優位に抑制されたため、活性酸素の過剰反応が原因と推測された。Cygb KOから分離培養した星細胞はプライミングを受けており、α平滑筋アクチンの発現やサイトカイン、ケモカインのmRNA発現も増強していた。さらに解析した結果、Cygb KOから分離した星細胞はp16,p21やγH2AXのような老化細胞マーカ-を発現していた。以上からCygb欠損星細胞はsenescent-associated secretary phenotype(SASP)を呈することが明らかになった。また、SASPの誘導に一酸素窒素(NO)が関与している可能性があり、その解析を進行中である。以上の結果から、星細胞に発現するCygbは干し細胞の恒常性の維持に極めて重要であり、その欠損は星細胞をプライミングさせ、SASPを呈するフェノタイプを変化させることが誘引の1つとなり、肝臓の臓器全体における炎症、線維化の増強を介して発癌を佐苦心させる可能性が示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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