遺伝性心筋症の病因となる遺伝子異常の同定と、それによる病態形成機序の解明に立脚して、心不全病態の治療・予防戦略を策定することを目的とした研究を実施した。その結果、心筋収縮のCa感受性亢進に関与するミオシンフォスファターゼスモールサブユニットM21を高発現するマウスが肥大型心筋症と同様の臨床像、病理像、遺伝子発現パターンを呈すること、これらの変化がROCK2阻害剤で抑制可能なことを実証した。また、ラミンA/C変異に起因する拡張型心筋症の発症における性差が、アンドロゲン受容体を介することを証明した。さらに、連鎖解析や候補遺伝子アプローチによって、新規の心筋症原因遺伝子を複数同定した。
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