研究課題/領域番号 |
25293186
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
小川 久雄 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (50177135)
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研究分担者 |
泉家 康宏 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (10515414)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 骨格筋 / 分泌因子 / 心不全 / 心保護 |
研究概要 |
プロテオミクス解析による新規骨格筋由来分泌因子網羅的検索:骨格筋特異的誘導型Akt1遺伝子過剰発現マウスの骨格筋サンプルをマイクロアレイとプロテインアレイ解析し分泌タンパクのスクリーニングを行った。本年度は骨格筋特異的にAkt1遺伝子を2週間過剰発現した後のサンプルを解析に使用した。マイクロアレイ上はAkt1の過剰発現により数多くのmRNAの発現亢進が認められたが、タンパクレベルで十分なレベルでの発現亢進を認めるものは少なく、現在のところ6つの候補分子がAkt1の過剰発現によりタンパクレベルで増加することを確認している。これらの因子の生理的機能を培養心筋細胞、培養線維芽細胞を用いたin vitroの実験系で検討した。低酸素刺激やドキソルビシンによる心筋細胞障害に対し候補遺伝子が保護作用を有するか検討したところ、2つの候補分子に心保護作用が認められた。 新規骨格筋由来分泌因子のバイオマーカーとしての可能性検討:スクリーニングをクリアした分子のうちGrowth differentiation factor-15 (GDF-15)のELISAは商品化されているものがあったため、慢性心不全患者の血清サンプルを用いて血中濃度を測定することができた。体内動態を検討し論文として報告した。GDF-15の拡張不全心不全患者における動態に関する検討は論文化しCan J Cardiol.誌に報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の実施目標としていた分泌タンパクのスクリーニングと機能解析は順調に進んでいると考えられる。本年度も異なるタイムポイントでのスクリーニングを継続して行い、分泌因子候補の経時的変化につき検討を行う予定である。臨床検体における検討は平成27年度に行う予定であったが、すでに商品化されたELISAキットがある分泌因子については平成25年度に測定を終了し、結果を論文として報告した。以上より、本研究はおおむね予定通り進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度リストアップした候補因子のペプチド抗体作製とELISAシステムの構築し、バイオマーカーとしての有用性検討を進める。抗体の作成は分泌因子候補の免疫源となる部位を検索し,その部位の合成ペプチドを作製し実験動物を用いた抗血清作製を行う.信頼性の高い抗体が得られた後は臨床サンプルを測定するためのELISA測定系を構築する.抗体作製,ELISAシステムの構築は高度な専門的技術が必要であり迅速に実験計画を遂行するために抗体作製受託サービスを利用する予定である. 症例のピックアップは昨年度論文報告したものと同様の方法で行う予定である。本年度はCPXパラメーターと分泌因子の推移についても検討を行う予定である. また血管内皮機能を簡便に再現性高く測定できる機器Endo-PAT 2000により得られたデータと新規分泌因子との相関について経時的に検討する予定である. またリコンビナントタンパクの精製も並行して進め、平成27年度には超小型ミニブタを使った治療応用の可能性検討ができるようにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度中に、Akt1遺伝子過剰発現後の複数のタイムポイントにおけるマイクロアレイ解析まで進める予定であった。しかしながらダブルトランスジェニックマウスの生産性が予想よりも低かったため、複数のタイムポイントにおけるサンプル収集が困難であった。現在、マウスの生産が増加してきたためサンプルの収集が可能となってきた。したがって、マイクロアレイ解析用の予算は平成26年度に繰り越すこととした。 平成26年度はAkt1遺伝子過剰発現後の複数のタイムポイントでのサンプルを使用し、マイクロアレイ解析を進める予定である。またその結果得られた候補因子のタンパクレベルでの解析を推進する予定である。
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