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2014 年度 実績報告書

脳腸ペプチドによる中枢および自律神経系を介した新たな循環調節機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25293188
研究機関独立行政法人国立循環器病研究センター

研究代表者

宮里 幹也  独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (50291183)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードペプチド / グレリン / ニューロメジン / 自律神経 / 循環調節
研究実績の概要

本研究では、脳腸ペプチドによる中枢および自律神経系を介した循環調節機構について明らかにし、治療応用の基盤を構築するとともに、自律神経系を介して臓器間ネットワークに関与する新規の生理活性ペプチドの探索を行い、その新たな循環調節機構を明らかにすることを目的とする。
消化管ペプチドであるグレリンについて、大動脈結紮による心肥大モデルを作製すると、心臓重量や左室壁厚、心臓における炎症性サイトカインや心肥大関連遺伝子発現、心臓線維化が、野生型マウスに比べ有意に増加した。一方、覚醒時心拍変動解析により求めた副交感神経活性は有意に低下した。内因性グレリンは肥大刺激に伴う心臓局所における炎症を、副交感神経活性を賦活化することによって抑制していることが明らかとなった。
末梢におけるニューロメジンU(NMU)の循環調節機構を明らかにするためのツールとして、NMUとNMSの共通構造(C末端7アミノ酸)を基盤とした構造活性相関研究を実施し、ヒトNMU/NMS受容体1型(GPR66/FM-3)および2型(TGR-1/FM-4)の選択的アゴニストの開発を試みた。この結果、6アミノ酸残基からなるペプチドを2型受容体に極めて選択的なアゴニストとして開発することに成功した。
新規因子探索のための新たな活性検出系として、GPCRの活性化によって産生されたイノシトール3リン酸(IP3)の代謝産物であるIP1を測定する系を新たに導入した。このアッセイ系は高感度で簡便かつ再現性が高く、オーファンGPCRの内因性リガンド探索において非常に有用であり、今後の成果が期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

脳腸ペプチドの機能解明については、グレリンが圧負荷心肥大モデルにおいて、副交感神経活性を賦活化することによって心肥大を抑制する新たな治療薬・心保護薬としての可能性を示すことができた。また、NMUについては、循環調節機構解明のため2型受容体選択的アゴニストの開発に成功した。
新規因子探索法の開発研究については、オーファン受容体の内因性リガンド探索において、新たな活性検出系を構築でき、本システムは新規制御因子の探索研究に大きく寄与することが期待できる。
以上より、研究はおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

グレリンの自律神経活動制御による循環調節機構と治療応用については、循環器疾患モデルにおける心血管系の機能や形態に及ぼすグレリンおよびグレリン受容体合成アゴニストの効果や作用機構について、自律神経活動制御を含めてさらに検討を進める。
末梢性NMUの循環調節機構については、2型アゴニストによる解析を進めるとともに、1型受容体アゴニストが開発およびそれを用いた解析を推進する。
新規ペプチドの探索研究については、主に迷走神経求心神経節に発現するオーファン受容体を標的とした新規制御因子の探索を新たに構築した活性検出系を用いて進める。

次年度使用額が生じた理由

交付申請時の計画では、研究補助者のための人件費を積算していたが、雇用せずに研究計画が遂行できた。また、当研究計画の実施に使用していた機器が使用不能となり購入が必要となったため、人件費として積算していた費用を物品費として使用し、一部次年度使用額が発生した。

次年度使用額の使用計画

次年度の物品費も当初予定より必要となると予想されるため、物品費と充当する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件)

  • [雑誌論文] Discovery of potent hexapeptide agonists to human neuromedin u receptor 1 and identification of their serum metabolites2015

    • 著者名/発表者名
      Takayama K, Mori K, Sohma Y, Taketa K, Taguchi A, Yakushiji F, Minamino N, Miyazato M, Kangawa K, Hayashi Y
    • 雑誌名

      ACS Med Chem Lett

      巻: 6 ページ: 302-307

    • DOI

      10.1021/ml500494j

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Discovery of selective hexapeptide agonists to human neuromedin U receptors types 1 and 22014

    • 著者名/発表者名
      Takayama K, Mori K, Taketa K, Taguchi A, Yakushiji F, Minamino N, Miyazato M, Kangawa K, Hayashi Y
    • 雑誌名

      J Med Chem

      巻: 57 ページ: 6583-6593

    • DOI

      10.1021/jm500599

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Ghrelin and the cardiovascular system.2014

    • 著者名/発表者名
      Tokudome T, Kishimoto I, Miyazato M, Kangawa K
    • 雑誌名

      Front Horm Res

      巻: 43 ページ: 125-133

    • DOI

      10.1159/000360593

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] One dose of oral hexarelin protects chronic cardiac function after myocardial infarction2014

    • 著者名/発表者名
      Mao Y, Tokudome T, Kishimoto I, Otani K, Miyazato M, Kangawa K
    • 雑誌名

      Peptides

      巻: 56 ページ: 156-162

    • DOI

      10.1016/j.peptides.2014.04.004

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2016-06-01  

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