研究課題
本研究では、脳腸ペプチドによる中枢および自律神経系を介した循環調節機構について明らかにし、治療応用の基盤を構築するとともに、自律神経系を介して臓器間ネットワークに関与する新規の生理活性ペプチドの探索を行い、その新たな循環調節機構を明らかにすることを目的とする。消化管ペプチドであるグレリンについて、心肥大における病態生理的意義と自律神経系の関与を明らかにするため、グレリン欠損マウスに大動脈結紮術による心肥大モデルを作製・解析した結果、内因性グレリンは副交感神経活動を賦活化することにより、肥大刺激に伴う心臓局所における炎症を抑制し、心肥大に対して保護的作用を発揮することを示した。グレリンの循環器疾患への治療応用が期待される。脳腸ペプチドであるニューロメジンU(NMU)の末梢における循環調節機構を明らかにするためのツールとして、NMUとNMSの共通構造(C末端7アミノ酸)を基盤とした構造活性相関研究を実施し、NMU/NMS受容体選択的アゴニストの開発研究を進めており、これまでに6アミノ酸残基からなる2型受容体選択的アゴニストを開発した。一方、同時に開発を進めた1型受容体選択的アゴニストの活性は、天然ペプチド活性よりも弱かったため、さらなる構造活性相関研究を実施し、天然ペプチドと同程度の活性を有するヒト1型受容体選択的アゴニストを開発できた。自律神経系を介して臓器間ネットワークに関与する新規の生理活性ペプチドの探索のため、生理的条件により変動を認めるペプチド性リガンドが想定される3種類のオーファンGPCRを同定し、安定発現細胞株を樹立、そのリガンドスクリーニングを進めた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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