研究課題
目的:インフルエンザウイルスの進入阻害による感染抑制の研究のため、以下を検討した;1)気管上皮細胞におけるプロテアーゼ阻害薬ナファモスタットのHA蛋白開裂抑制作用・ウイルス増殖抑制作用、上皮細胞傷害抑制作用および炎症性サイトカイン放出抑制作用。2)鼻腔上皮細胞におけるセリン・プロテアーゼ発現、ナファモスタットのウイルス増殖抑制作用、上皮細胞傷害抑制作用および炎症性サイトカイン放出抑制作用。方法:ヒト気管上皮細胞および鼻腔粘膜上皮細胞を用いて以下を解析した;1)セリン・プロテアーゼ発現。2)新型インフルエンザ(A/H1N1 pdm 2009)ウイルス放出量、ウイルスRNA複製量、ウイルスHA蛋白の開裂、炎症性サイトカイン放出量。結果:ヒト気管上皮細胞および鼻腔粘膜上皮細胞;1)セリン・プロテアーゼ(TMPRSS2、4、および11D)mRNAを発現し、ナファモスタットは発現に影響を与えなかった。2)ナファモスタットはウイルス放出量およびウイルスRNA複製量を減少した。3)ウイルス感染はIL-6およびTNF-αの放出を促進し、ナファモスタットは放出を抑制した。4)ウイルス感染による剥離脱落細胞数がナファモスタットで減少した。ヒト気管上皮細胞;ナファモスタットは放出されたウイルスのHA蛋白の開裂を抑制した。鼻腔粘膜上皮細胞;気管支喘息およびアレルギー素因を有する患者の細胞においてナファモスタットはウイルスの複製、IL-6およびTNF-αの放出を抑制した。結論:ヒト気管および鼻腔上皮細胞におけるセリン・プロテアーゼの発現、プロテアーゼ阻害薬ナファモスタットによるインフルエンザウイルス複製の減少が明らかになった。喘息合併患者を含むアレルギー素因を有する患者の鼻腔上皮細胞におけるプロテアーゼ阻害薬のウイルス放出および炎症惹起物質放出の減少効果が明らかになった。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
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