研究課題
重症喘息やCOPD、肺非結核性抗酸菌症をはじめとする感染症、間質性肺炎などの難治性炎症性・感染性肺疾患の病態解明と、それに基づく新規治療法の開発は急務である。また、COPDや特発性肺線維症などの慢性炎症性疾患は高頻度に肺癌を合併する。自然免疫応答の認識機構として、Toll様受容体、C型レクチン受容体、免疫グロブリン様受容体などが注目され、さらに自然免疫と獲得免疫の相互作用が明らかになってきた。また蛋白をコードしないmiRNAは、数多くの遺伝子発現を制御しており、miRNA発現の変化が様々な疾患に関与している。本研究では、(1)肺疾患の病態における自然免疫と脂質メディエーターとの相互作用を明らかにすること、(2) 肺癌のmiRNA解析から炎症と癌の関連性を解明することを目的とした。本年度は、以下の研究を行った。間質性肺疾患の新規血清マーカーとして、B 細胞の分化,生存,増殖に重要な役割を果たしているサイトカインBAFFに注目した。IPFやidiopathic NSIPなどの慢性線維化性間質性肺炎に比べて膠原病関連間質性肺炎で血清BAFF値が上昇し、膠原病関連間質性肺炎の肺組織においてBAFFの過剰発現を認めた。生体膜リン脂質を加水分解する酵素で細胞外に放出される分泌型ホスホリパーゼA2 (sPLA2 )の各種アイソザイムの欠損マウスを用いて、喘息モデルを作成し、各種sPLA2 アイソザイムの慢性炎症性疾患での役割を検討した。免疫グロブリン様受容体のリガンドの一つAngptl-“X”が、肺胞上皮細胞で高発現していること、Angptl-X欠損マウスの間質性肺炎モデルでは、肺線維化が増強していることを見出した。肺癌の進展や転移に関与する癌抑制性miRNAを解析し、細胞外マトリックスに関連する遺伝子群を制御するmiRNAがあることを明らかにした。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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