研究課題/領域番号 |
25293193
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
森 建文 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40375001)
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研究分担者 |
伊藤 貞嘉 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40271613)
清元 秀泰 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (00304585)
大崎 雄介 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40509212)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 酸化ストレス / ミトコンドリア / 腎障害 / 蛍光イメージング / ヘンレのループ太い上行脚 / ナトリウム再吸収 / カルボニルストレス |
研究概要 |
腎髄質酸化ストレス産生に及ぼすミトコンドリアの影響を髄質ヘンレのループ太い上行脚(mTAL)を対象として検討を行った。SDラットよりmTALを単離し、ミトコンドリア内の活性酸素種をMitoSOXで、過酸化水素をMitoPY1で標識し、蛍光顕微鏡にてリアルタイムイメージングにより観察した。アンジオテンシン(AngII)はミトコンドリア活性酸素種を上昇させた。この反応はミトコンドリア呼吸鎖複合体阻害剤(rotenone, antimycin A)により阻害され、NADPH oxidase阻害剤(apocynin)は阻害せず、ミトコンドリアでの活性酸素種が産生が示唆された。 AngIIがミトコンドリア酸化ストレス産生を上昇させたことから、レニンアンジオテンシン(RAS)系がミトコンドリア酸化ストレスを介して腎障害に影響すると考えられた。そこでDahl食塩感受性高血圧ラットに(プロ)レニン受容体と(プロ)レニンの結合を阻害するデコイペプチド(HRP)を持続投与し、高食塩飼料を給餌して6週間飼育した。HRPの投与は血圧には影響せず、4週目時点の尿蛋白排泄量を有意に低下させた。6週間時点での腎組織障害には顕著な差は認められなかった。 糖尿病によるミトコンドリア酸化ストレス産生に及ぼす影響について検討した。高濃度L-glucoseでの単離mTAL灌流はミトコンドリア活性酸素種産生に影響しなかったが、D-glucoseの灌流では有意な上昇が認められた。カルボニル物質(メチルグリオキサール)はmTALミトコンドリア活性酸素種産生を増加させ、D-glucoseによるミトコンドリア活性酸素産生上昇はグリオキシラーゼ1を高発現するGLO1-Tgラットやカルボニル物質補足剤のピリドキサミン投与により抑制されたことから、カルボニル物質の関与が示唆された。 以上の結果より、 AngIIや高血糖はmTALミトコンドリア酸化ストレス産生を亢進させることが明らかとなった。また高血糖によるミトコンドリア活性酸素種産生機序の一部としてカルボニルストレスの関与が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度時点で立案した研究計画内容に従って研究を行い、予定していた内容をほぼ実行した。研究から得られた研究結果が予想と同じような傾向を示していることから、概ね順調に進展していると評価した。次年度もまた、平成25年度時点での研究計画に沿って研究を行うことを予定している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度計画をほぼ予定通りに完遂したので、引き続き予定通りに平成26年度計画を遂行する。平成26年度は主にラットを用いた急性期実験での検討を行う。
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