研究課題
腎臓は心拍出量のおよそ20%を受けるが、腎臓内の血流量は偏在しており、髄質領域は総腎血流量の10%を受けるに過ぎない。しかしその一方で腎臓髄質領域ではヘンレのループ太い上行脚(mTAL)において圧利尿を介したナトリウムバランス調整が行われるなど重要な機能を担っている。圧利尿の調節には腎臓髄質領域の局所血流量が大きく影響するが、この血流量は腎臓髄質領域の一酸化窒素(NO)と活性酸素種(ROS)のバランスによる直血管収縮により制御されている。これまでの研究により、mTALにおけるNAD(P)H oxidaseを介したROS産生については検討されてきたが、およそ半分を担うといわれるミトコンドリア由来のROS産生については十分には検討されてこなかった。本研究では腎臓髄質領域におけるミトコンドリア由来ROS産生について検討を行うことを目的としている。麻酔下のラットを用いた急性実験においてレーザードップラー法により腎臓局所血流量を測定した。虚血再灌流は腎髄質血流量を低下させたが、ミトコンドリアROS消去薬であるmitoTEMPOの前投与は腎髄質血流量の低下を有意に改善した。また、mTALを用いたリアルタイム蛍光観察法による検討において、低酸素刺激はミトコンドリアROS産生を増加させた。この反応はmitoTEMPOならびにミトコンドリア呼吸鎖阻害薬により有意に抑制された。以上の結果より、腎臓髄質領域においてTALでは低酸素刺激によりミトコンドリアROSが産生され、腎局所血行動態に関与しうることが明らかとなった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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