研究課題
現在、ATP2B1遺伝子に関して、(1)血管平滑筋(2)全身ヘテロ(3)血管内皮細胞(4)遠位尿細管の4系統のノックアウトマウスを作成し機能解析を行っている。(1)降圧薬への応答性の違いを、テレメトリー法で測定している。Ca拮抗薬、α遮断薬、β遮断薬、ARB、利尿薬を投与し、応答性が異なれば、テーラーメイド医療への応用が期待できる。(2)通常状態においてコントロール群と比較して血圧が上昇していることが示され、そのメカニズムの一部にNOの産生障害が関連している事が示唆された。このことをJournal of hypertension 2014 Jul;32(7):1415-23 に報告した。(3)(4)は、血圧とCa代謝(骨、血中・尿中Ca)の関連を解析し、現在投稿中である。また、ヒトにおける降圧薬へのATP2B1遺伝子のSNPsによる応答性の違いを投稿準備中である。さらに、血管平滑筋細胞で同遺伝子の過剰発現マウスを作成し、現在G2世代、4ラインの系統を維持できるようになった。今後、発現量のチェックと機能解析を行っていき、どのような表現型のマウスになるか確認する。LPIN1遺伝子に関して、ノックアウトマウスにテレメトリー法による血圧測定を行った。血圧高値を確認した。現在、ヒトSNPとの関連及び、マウスでの血圧測定の結果を投稿準備中である。同時に、血圧高値の原因をホルモン採血や行動解析等行っている。
2: おおむね順調に進展している
上記、研究実績概要で述べたとおり、組織特異的ノックアウトマウスの機能解析は進行し、報告してきた。さらに、本年度作成した平滑筋特異的トランジェニックマウスの作成に成功し4系統のライン作成ができた。来年度はトランスジェニックマウスの機能解析を予定している。またヒトサンプルについても、準備ができている。そのほか、論文報告・学会発表も予定通り行え、おおむね順調である。
ATP2B1遺伝子と薬剤応答性のマウス・ヒトにおける検討。また、CAVI(Cardio Ankle Vascular Index)との関連をヒト集団を用いて検討し、同遺伝子の動脈硬化性病変へ与える影響を検討する。LPIN1遺伝子に関しては、アディポサイトカインやサーカディアンリズムとの関連が示唆される実験結果を得ており、それらを詳細に検討していく。前者はテーラーメード医療、後者は新規パスウェイの解明を目指す。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)
Journal of hypertension
巻: 32 ページ: 1415-1423
10.1097/HJH.0000000000000206