研究課題
基盤研究(B)
平成25年度においては、(プロ)レニン受容体欠損MEF細胞内における遺伝子の全長/部分断片によるレスキュー実験を施行した。PRR-null MEFに、(プロ)レニン受容体遺伝子の全長と部分断片を過剰発現し、V-ATPaseサブユニット発現と細胞内pHを評価したところ、(プロ)レニン受容体細胞外ドメインが、V-ATPase形成と機能(細胞内pH維持)に必須であることが判明した。一方、(プロ)レニン受容体から可溶性(プロ)レニン受容体を産生するfurinの切断部位に変異を入れ、furinによるプロセッシングを抑制しても、逆にfurinを過剰発現しプロセッシングを促進しても、(プロ)レニン受容体によるV-ATPaseの形成と機能には影響を与えないことが判明した。さらに、(プロ)レニン受容体遺伝子のExson4の変異はヒトの家系で発見されているが、この変異でもV-ATPaseの形成と機能に影響を与えないことが示された。以上より、V-ATPaseの形成と機能において、(プロ)レニン受容体の細胞外ドメインが必須であるが、一旦V-ATPaseが形成された後にfurinによる切断が行われても行われなくても影響を受けないことが明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
計画通りに実験が進行しており、次年度に向けての研究計画の方向性の若干の訂正を示唆できている。
(プロ)レニン受容体の細胞外ドメインが、機能において重要な役割を担うことが明らかになった。また、この部位を反映する可溶型(プロ)レニン受容体の血液中濃度が、リン用において、腎機能と強く相関し、妊娠糖尿病の発症を予測することが明らかになったため、(プロ)レニン受容体の細胞外ドメインを過剰発現させたことによる病態生理学的メカニズムを遺伝子改変動物と細胞レベルで検討すべきであると考えられた。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
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