研究課題/領域番号 |
25293200
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小野寺 理 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20303167)
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研究分担者 |
豊島 靖子 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (20334675)
佐藤 俊哉 北里大学, 医学部, 教授 (90359703)
小山 哲秀 新潟大学, 研究推進機構, 助教 (90622209)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 神経病帯 / 脳小血管 |
研究実績の概要 |
近年,脳の小血管を主体とする疾患が脳小血管病として注目を集めている,本症は高齢者に高頻度で認められ,血管性認知症,さらに変性疾患にも寄与すると考えられてきている.私たちは,人で遺伝性に,脳の小血管を侵す疾病CARASILの病態機序を明らかにしTGF-βファミリーシグナルの亢進がその背景にあることを示し,その亢進機序を解明してきた.本研究では独自に開発したCARASILの病態モデルマウス(小血管での平滑筋細胞が変性し収縮能が減少する)を用いTGF-βファミリーシグナルの脳小血管病変への関与を明らかとし,TGF-βシグナル抑制機構による,脳小血管病の改善を動物レベルで試みる.さらに,平滑筋細胞の機能異常と脳小血管機能との関連を明らかにする.遺伝子改変マウスでのアストロサイト,平滑筋細胞,周皮細胞の初代培養を用いて,発現プロファイルを検討した.まず,抗PECAM抗体を用いた毛細血管免疫沈降法を用い,高率に小血管を分離した.この単離小血管の発現プロファイルを検討した.本プロファイルは,同部位でのシグナル異常を反映すると考えられる.しかし,現時点では特定のシグナルの亢進を指摘できていない.またこのモデルマウスで,TGF-βの亢進を示す確証を得られていない.現在質量分析装置での蛋白質プロファイルを行い,変化のある蛋白質の同定を試みている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り初代培養細胞系での解析を行うことが出来た.しかし,その結果は予想に反したものであった.本モデルマウスでの異常の背景にあるものを明らかにするために,質量分析の手法を用いることとしており,順調に計画は遂行している.
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今後の研究の推進方策 |
アンギオテンシンII受容体I型の拮抗薬を用いたTGF-βシグナルの抑制による治療効果の検討 本症の背景にTGF-βシグナルの亢進がある場合,アンギオテンシンII受容体I型の拮抗薬により,その進行が抑制されると推察される.本症と同様にTGF-βシグナルの亢進により,平滑筋細胞層の変性と,弾性線維の異常を来す疾患にMarfan症候群がある.本症候群では,アンギオテンシンII受容体I型の選択的拮抗薬により著明に病状の進行が抑制されることが示され,現在第三相試験が行われている.我々は,TGF-βシグナル仮説を直接的に立証するために,アンギオテンシンII受容体I型の拮抗薬の効果を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
実験動物の病態の確認に予想以上に期間を必要としたため,今年度に,その生化学的解析を行う予定としている.その為に,物品費を今年度に繰り越している.
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次年度使用額の使用計画 |
免疫組織化学,核酸解析などの生化学的解析の物品費使用する
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