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2013 年度 実績報告書

共通分子UBQLN2を通じたポリグルタミン病・ALS/FTLDの統合的病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 25293207
研究種目

基盤研究(B)

研究機関横浜市立大学

研究代表者

田中 章景  横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30378012)

研究分担者 土井 宏  横浜市立大学, 医学部, 講師 (10326035)
児矢野 繁  横浜市立大学, 医学部, 准教授 (50315818)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード脳神経疾患 / 神経科学
研究概要

我々はALS/FTLD、ポリグルタミン病の神経細胞変性におけるUBQLN2の役割を解明することを目的として研究を開始している。平成25年度はUBQLN2の機能解析を開始するに当たり、ALSの原因として複数家系で確認されている変異を選び、変異型UBQLN2発現ベクターの作製を行った。一過性の過剰発現系において変異型UBQLN2と野生型UBQLN2を発現させ、プロテアソーム阻害薬、オートファジー阻害薬、ERストレス誘導役など様々なストレスに対する反応を検討したが、現在のところ変異型UBQLN2と野生型UBQLN2の挙動に変化は見られていない。今後ユビキチンプロテアソーム系、オートファジー系の構成因子との結合の差の検討や細胞に与えるストレスの種類を変えて変異型UBQLN2と野生型UBQLN2挙動の差を解明していくと同時にノックダウンの影響を予定通り追加検討していくこととしている。本研究では、ALSにおける我々のUBQLN2のloss of function仮説をin vivoで証明するために、Ubqln2の運動ニューロン特異的ノックアウトマウスを作成し、機能解析、治療介入を行うことが最も重要な課題となっている。そのためにloxP配列でUbqln2遺伝子を挟み込むloxP-Ubqln2マウスと、運動ニューロン特異的なCre発現をおこすVAchT-Creマウスの交配により、運動ニューロン特異的なUbqln2ノックアウトマウスを作製することを目的に研究に着手している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度は主に培養細胞系を用いて ①UBQLN2のユビキチン-プロテアソーム系、またオートファジー系における役割の解明、また②野生型、変異型UBQLN2の過剰発現、野生型UBQLN2のノックダウンによってもともと凝集性の高いRNA結合タンパク(TDP-43, FUS/TLS)の凝集が見られるか、そして神経毒性が発揮されるかどうかを検証する予定であった。培養細胞系の実験系の構築に関しては順調に進んだが、まだ野生型UBQLN2と変異型UBQLN2の機能の差を示す確証が得られていないので、不十分な面もある。一方UBQLN2の運動ニューロン特異的コンディショナルノックアウトマウスを作成に関しては、平成25年度はUbqln2のターゲティングベクター構築を行い、ES細胞への導入を行った。ターゲッティングベクターが組み込まれたES細胞クローンが順調に得られており、現在はキメラマウスを作製している段階である。マウス作成実験に関しては順調に進んでいるため、研究全体としては概ね予定通りに進行していると考えられる。

今後の研究の推進方策

培養細胞系を用いた UBQLN2とユビキチン-プロテアソーム系、またオートファジー系における役割の解明については、通常用いられるプロテアソーム阻害剤、オートファジー阻害剤負荷などでは、野生型と変異型の挙動の差が見られない。今後はRNA結合タンパク質やポリグルタミンタンパク質など凝集性の高いタンパク質を付加した際に、そのタンパク質処理や神経毒性に対して、野生型と変異型UBQLN2の過剰発現または野生型UBQLN2のノックダウンが与える影響が変化するかを検討する予定である。また、野生型、変異型UBQLN2とユビキチンプロテアソーム系、オートファジー系の構成因子との結合の差も解析していく予定である。野生型と変異型の過剰発現、または野生型のノックダウンの細胞に対する影響が細胞死や凝集タンパク質増加といった通常の解析でとらえられる変化として検出できなかった場合は、質量解析装置を用いた凝集物質プロテオミクス解析を行うことによって変化を検出したいと考えている。また平成26年度は質量解析装置を活用してリン酸化を含むUBQLN2翻訳後修飾の同定、翻訳後修飾によるUBQLN2の機能調節機構の解明に着手し、また新規UBQLN2結合タンパク質同定も行っていく予定である。Ubqln2の運動ニューロン特異的ノックアウトマウスの作成に関しては順調に進んでおり、引き続き作成を継続していく。

次年度の研究費の使用計画

培養細胞系実験に要する費用が、当初の予定に比べて少額で済んだため。
平成26年度は培養細胞系実験において要する費用が平成25年度に比べて増大するため、それらの消耗品費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Neuropathological staging of spinocerebellar ataxia type 2 by semiquantitative 1C2-positive neuron typing nuclear translocation of cytoplasmic 1C2 underlies disease progression of spinocerebellar ataxia type 22014

    • 著者名/発表者名
      Koyano S, Yagishita S, Kuroiwa Y, Tanaka F, Uchihara T
    • 雑誌名

      Brain Pathology

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      10.1111/bpa.12146

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Increased number of astrocytes and macrophages/microglial cells in the corpus callosum in amyotrophic lateral sclerosis2013

    • 著者名/発表者名
      Sugiyama M, Takao M, Hatsuta H, Funabe S, Ito S, Obi T, Tanaka F, Kuroiwa Y, Murayama S
    • 雑誌名

      Neuropathology

      巻: 33 ページ: 591-599

    • DOI

      10.1111/neup.12027

    • 査読あり
  • [雑誌論文] RNP2 of RNA recognition motif 1 plays a central role in the aberrant modification of TDP-432013

    • 著者名/発表者名
      Iguchi Y, Katsuno M, Ishigaki S, Ikenaka K, Fujioka Y, Honda D, Niwa J, Tanaka F, Watanabe H, Adachi H, Sobue G
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 8 ページ: e66966

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0066966

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Ablation of Keratan Sulfate Accelerates Early Phase Pathogenesis of ALS2013

    • 著者名/発表者名
      Hirano K, Ohgomori T, Kobayashi K, Tanaka F, Matsumoto T, Natori T, Matsuyama Y, Uchimura K, Sakamoto K, Takeuchi H, Hirakawa A, Suzumura A, Sobue G, Ishiguro N, Imagama S, Kadomatsu K
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 8 ページ: e66969

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0066969

    • 査読あり
  • [雑誌論文] dnc-1/dynactin 1 knockdown disrupts transport of autophagosomes and induces motor neuron degeneration2013

    • 著者名/発表者名
      Ikenaka K, Kawai K, Katsuno M, Huang Z, Jiang YM, Iguchi Y, Kobayashi K, Kimata T, Waza M, Tanaka F, Mori I, Sobue G
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 8 ページ: e54511

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0054511

    • 査読あり
  • [学会発表] 熱ショック因子1は球脊髄性筋萎縮症の運動神経変性を抑える2013

    • 著者名/発表者名
      近藤直英, 勝野雅央, 足立弘明, 南山 誠, 土井英樹, 松本慎二郎, 宮崎 雄, 飯田 円, 中辻秀朗, 藤内玄規, 石垣診祐, 藤岡祐介, 渡辺宏久, 田中章景, 祖父江元
    • 学会等名
      第36回日本神経科学大会 Neuro 2013
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都府京都市左京区)
    • 年月日
      20130620-20130623
  • [学会発表] 運動ニューロン特異的TDP-43ノックアウトマウスの病理学的検討2013

    • 著者名/発表者名
      井口洋平, 勝野雅央, 丹羽淳一, 高木伸之介, 山中宏二, 三澤日出巳, 高橋良輔, 佐々木彰一, 田中章景, 祖父江元
    • 学会等名
      第54回日本神経学会学術大会
    • 発表場所
      東京国際フォーラム(東京都千代田区)
    • 年月日
      20130529-20130601
  • [学会発表] dynactin-1ノックアウトによる孤発性ALSモデルマウスの作成と病態解析2013

    • 著者名/発表者名
      河合香里, 池中建介, 勝野雅央, 井口洋平, 勝又 竜, 田中章景, 祖父江元
    • 学会等名
      第54回日本神経学会学術大会
    • 発表場所
      東京国際フォーラム(東京都千代田区)
    • 年月日
      20130529-20130601

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公開日: 2015-05-28  

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